黙々と「百年杉」

天然と養殖…

どっちがいいかと問われれば、そりゃぁ天然の方が良さそうである。

 

木もいっしょで

植林した木より、自生した実生の木の方が生命力があって、強度も芳香も強い。

 

「百年杉」とは

樹齢80年~150年程度の杉ですが

たまたま百年が経過した杉ではなく

最初から「狙って創った百年杉」なのです。

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全国平均だとha/4,000本~6,000本がレギュラーの植林本数の所を

8,000本~10,000本以上の超密植状態で植林。

自然界のキビシく限られた太陽光線という過酷な状態を人工的に再現。

遅成長の木ほど木材の価値は高いので

成長の遅い遺伝子を有する苗木を植えています。

 

そこから5~10回の間伐を経て、百年で皆伐して、また植林しています。

最後の間伐は樹齢80年くらいでしょうが

劣勢間伐の原則ですから

樹齢80年間伐材も「準ミスユニバース」のような素晴らしさなのでしょうが

「百年杉」は「ミスユニバース」です。

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日本の森林は国土の面積の67%くらいを占めますが

日本はたいして広い国ではありませんよね。

我が国の森林は世界の

森林の0.6%に過ぎません。

 

そんな我が国の森林ですが、「山の畑」たる人工林が全体の4割強…41%くらいあります。

そしてその我が国の人工林ですが、なんと世界の人工林の10%!(驚)を占めるのです。

いかに世界では木は植えられていないか?という事と

我が国が木を植える民であることがおわかりいただけるでしょ。

 

「百年杉と人間の身体」…のような話を(集中連載)として記してきましたが

「そりゃそうさ」…どんな杉でもあんなマジック!のような事が起こる訳がない。

 

前述のとおり、「百年杉」は人工的に創られている杉なのですが

過酷な自然界の状況下を人工的に再現した杉なのです。

そこの費やされいる時間と情熱…基軸の人的(世代的)継承…を考えれば

安いもんだと私は思うのですが、前述のとおり植林すらおこなわれていないような外国の木と比較されては

そりゃ高い。同様にそこまで品質にコミットしていない他の杉と比較してもやっぱり高くなります。

 

植物の力に畏敬の念を抱き

その「植物のありがたき力(=源は精油分だと思います)」を最大限にいただける杉を

百年かけて世代間で継承しながら、狙って創った杉が「百年杉」なのです。

そりゃ相対的比較においては、価格も高くなるのも明白だが

「質」もまったく違うのですからね。

コストパフォーマンスが高いとは言わせない。…という感じ。

 

かっこいいよね。

丸太が…木材価格が…高かろうが安かろうが

脈々と最高の杉を創っていく…ある過程では自分は収穫できないのがわかっていても

そのバトンを引き継いで、イイ仕事をして、次世代に最高の杉を引き継いでいく。

 

話変わって

先日、ある人から弊社の近くでの「皮むき間伐」イベントへのお誘いがありました。

(私はイベントに行かなかったから内容~結果は不明です)

 

「皮むき間伐」の詳細はここでは避けますが

いわゆる「巻き枯らし」のようなもので

皮をむいちゃて、水の吸い上げをできなくして立ち枯れさせるという手法。

ぼくもやったこともありますし、それを広めている人のレクチャーを受けに静岡まで行ったこともありますし、

千葉の森林で「皮むき間伐」イベントを主催したこともあります。

 

まったく間伐が進まない放置されている人工林の緊急避難的な手法として有効な印象は持っています。

放置された人工林の転機の為に…労働力…技術力…無いモノ尽くしの際の手法。

 

しかし、不思議な感覚を持ちませんか?

かたや世代間でリレーしながら、最高の「百年杉」を100年かけて

創ってきた森林所有者がいて

かたやお金にならないから放置していた森林所有者がいて

(今回のこのイベントの方がそうであるのかはわかりませんよ。直接結び付けずに【例え】としてお読みくださいね)

 

その放置していた森林所有者の方々が、「皮むき間伐」のようなイベントになって都市部の人々の応援を受けて

ちゃんとビジョンをもって作業を継続していた側は応援をもらえない。

 

今回の「皮むき間伐」イベントの森がどのような状況で

どのようなビジョンをお持ちの森林所有者であるのか?…は私は存じ上げないのですがね…。

もちろん素晴らしい方なのかもしれません。

 

ただ…なんというか

都市部の環境とか…心ある方々って

人と人を、むすびつければ何でもできちゃうような思考をお持ちの方が多くて…

それはまったく正しいのだけれど、でもそれって、それは所詮、我々の時間軸内での話でしかないわけで

人間なんて所詮、人の気持ちの中でしか永遠には存在できないわけです。

 

森と木は人間のちっぽけさを感じさせてくれるありがたい存在でもあるわけです。

そこらへんがね…。

 

仮に近くの不誠実なお店と、ちょっと離れた誠実な同業他店あったら

ぜったいに後者のお店に買いに行くでしょ。

 

地産地消とか…とってもいい事なんだけど

森はこれだけつながって続いているのにね。

地産地消の優先順位が高すぎるというか…

木を見て、材を見て、これまでの素晴らしい杉を創ってくれた人に会いたい…

いや、もう召されている人も多いよ…じゃぁその方に報いるためには私には何ができるの?!

 

…みたいなノリの方が、ぼくは好きなんですがね。