「百年杉」≒「自然栽培農法」だと思う

「百年杉」は自然栽培農法と似ています。

 

ちょっと前に…

誰もがご存知の某財団法人の理事長さんに聞かれたのですが…

「貴方の言うところの百年杉は百年経過すれば百年杉なのですか?

それとも植林する際から百年杉を創りにいっているのですか?」

…という実に鋭いご質問をいただき

 

「後者の方です。」とお答えいたしました。

「おぉなるほど。それなら理解できる。」とのお返事を頂戴しまして…

いやはや、まったく、世の中には凄い人はいらっしゃるものですね。感服いたしました。

 

 

そう…狙って育んでいます。

 

「自然栽培農法」という言葉は実に矛盾に満ちています。

「農」は人が人為的に営むものであって、自然界の流れではありません。

人が種を蒔きます。もうそこで「自然界」ではない。「栽培」です。

 

けれどもあまりにも目先の収量を優先して追い求めていった結果

大切なものを見失ってしまった。

ですから「自然界」に近い状況での「農法」を持続継続していくというのが「自然栽培農法」。

その結果、「あまやかされている植物」は失ってしまった…植物本来の力=栄養価をいただけるのですね。

まったくありがたい。

 

私は、「杉は精油分だ!」…ともう1万回以上発信してきました。

そして、どんな杉が精油分豊富なんだ?の問いには

いろいろあるが、素人にもわかるのは「樹齢と赤身部の色の濃さだ!」と

やはり1万回以上答えてきました。

 

それではあまり聞いてくれませんから

私の方から…最も精油分豊富は究極の杉は何かと答えますと…

 

屋久杉のような…

自生した実生の高樹齢の杉だという事になります。

植林した時点で「あまやかし」はすでに始まっていますからね

究極の1本にはなりません。

 

 

「百年杉」は植える時から百年後の収穫=主伐を計画して植えられています。

 

ha/4,000本~6,000本の植林が全国平均だと思われますが

百年杉はha/8,000本~12,000本の超ウルトラ密植で植林して

まるで自然界のような…

限られた太陽光線という過酷な状況を作り出しているのです。

試練を与えているのです。

 

そして、そこから劣勢間伐を5回~10回おこなって

最後に残った主伐材を約100年後に収穫するのです。

 

「木は人」ですから、イイも悪いも無いのですが

木材に姿を変えた際の優劣ですね。

 

まるで自然界で自生したがごとく成長が遅く=年輪が詰まっている…のは

偶然ではなく、いわば技術なのです。

 

遅成長の遺伝子を有した育苗

100年間の施業~間伐という育林…そう世代間で継承された技術。

 

人が狙って…着手した時点で「自然」ではないのですが

「百年杉」はまるで…とてもきびしい自然界の中で荒波にもまれて

幾多の困難を乗り越えて成長してきた杉かのような試練を

人為的に与えた結果、授かった杉なのです。

だから他の杉とは違う。樹齢だけじゃない。

 

優れた五感を有する方々が弊社にお越しになって…

手にした…足を置いた瞬間に…

何かを感じとって…黙ってしまう理由はおそらくそういう事です。

木力が違う。

 

杉であって杉でないようなもんです。

 

もちろん、何でも超密植すればいいわけではありません。

年間降雨量、湿度…多湿な土壌を好適とする杉の特性に合致した山でなければ

与えたストレスが大き過ぎてダメになってしまうでしょうしね。

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余談をここらで少し…

奈良県の森林所有者はここらを「やり過ぎて」しまった感があります。

200年の杉を創りにいって…ようやく200年かけて…できたのですが…

できた頃には高樹齢杉材を求めるマーケットは消失してしまっていました。

 

更にあの辺りは…

「杉の(赤身部の)黒いのはダメだ!ピンク色の杉を持ってこい!!」という

見た目だけの根拠の建築業界の言い分に忠実に従って、ピンク色の高樹齢材の創出に力を注いできましたからね。

 

私のような…「安眠・熟睡=脳の創造と機能維持には杉の芳香=黒いような見た目がグロい精油分豊富な高樹齢材を求める」という…サイエンスと実際の事例研究を合致させた考え方の人間からしてもあまり欲しがらない上品な高樹齢材となってしまいました。

 

200年の時間軸というのは

ほんと恐ろしい。

 

「樹齢200年の無垢の杉材の天井板をさぁ…」

「お施主様!そんな道楽な事にお金をかけないで、私の設計フィー、職人さんの労務費、断熱材とか、もっとそういう所にお金をかけてくださいよ!」

確かにおっしゃる事は、まったく正しいのですが…

結果、山にお金は還らなくなっています。

 

奈良県の高樹齢材のピンチは根深い。我が国、最高峰の杉を創り続けてきたのに…

建築業界の言う通りにしてきて、建築業界に不要と言われています。

(建築業界の主役が棟梁(職人さん)から設計士・経営者に変わりましたからね…ニーズの転換。)

銘木業界とかもそうですね。

 

さて話を戻します。

私が「百年杉」とカテゴライズさせていただいている高樹齢杉とは

そういう事なのです。

 

「百年杉」≒「自然農法」

 

という意味がお分かりいただけたでしょうか。

 

 

ちなみについでに、よく聞かれる乾燥方法ですが…

そりゃぁ「自然乾燥」がいいに決まっていますが

私の言う「百年杉」は…

それだけじゃビジネスとして常識的な時間軸ではまず乾燥しません。

「お金先払い~納品は発注後2年」くらいならできなくもないかもしれませんが

それじゃ誰も発注しないでしょ。

やはり「百年杉」ビジネスには低温乾燥装置が必要です。

 

そう言うと…

「いや、150年くらいの建具用高樹齢材は自然乾燥にて流通されているではないか?」

というマニアックな突っ込みがくるかもしれませんが…

(普通はこないけど 笑顔)

 

建具用高樹齢材は前述の…奈良県産高樹齢材のように

黒ではなく見た目が上品な赤色の薄いピンク色の木ばかりです。

(それは発注者がそういう見た目だけの事を求めているからです)

 

精油は色の濃淡が目安ですから

そういう木は高樹齢でも精油は多くないのですよ。

(とはいえ高樹齢だからそれなりに凄いけど…)

そういう杉なら、たしかに自然乾燥で乾きもします。

美人なんだけど色気は…という例え話も何回もしていますよね。

 

ですから

「高樹齢材を自然乾燥でやっています。」という事は

ぼくの考えからしますと…

いくら樹齢はあっても、もともと持ってる精油分が少ないんだろうな…

ぼくには興味が無いな…

ぼくの「百年杉」とは比較できないな。木が違う。

という事になります。

 

「百年杉」が

関東ではまずお目にかかれない杉だと自負している論拠を書いてみました。