最高品質の杉が使われない理由③ 「不思議な予算」

建築のご予算は実に不思議です。

世の中には良い人も悪い人も普通の人もいるのでしょうが
良い人のお家の場合も…
悪い人のお家の場合も…
普通の人のお家の場合も…必ず予算が足りないのです。

金額も関係ありません。
1億円の物件も…
5千万円の話も…
100万円の話の場合も…必ず予算が足りないのです。
不思議な話です。

弊社は「床が変われば人生が変わる。」と言っています。
いわゆる素材の違いによって
人生の約9割を屋内で過ごす我々は実に大きな影響を受けると弊社は考えています。
「床はあればいい。」のではなく「床が何なのか?」
「ベッドがあればいい。」のではなく「ベッドは何でできているのか?」…
が大きな問題であり違いであると弊社は考えています。

そして「設計・施工の考え方の違い」

「誰が安く、どこが高い…」

それは比較する対象者の建築に関します「考え方×行動」が
まったく同じ場合には有効なのでしょうが
建築は他のモノに比較してライフも長く
メンテナンス時のコストや更には冗長性など…
設計・施工者の考え方によってまったく違うどころか
違いすぎる世界のはずです。

数字の「高い安い」ではなく
「高い理由と安いわけ」をちゃんと識字できる能力が
どうやら「私たち」には決定的に不足しているようなのです。
そこまでは前回記しました。

「建築は価格が不透明でわかりづらい。」との話をよく耳にします。
けれどもそれは当然の事です。
各社によってスタンダードや最低限のレベル~ライフの概念がまるで違うのです。

正確には…

「建築は明細が透明であっても、私たちには理解しづらい。」
…が正しいのではないでしょうか。

このように「私たち」のスキル不足によって
(果たしてそのスキルを1次取得層たる30代後半までに得る事が可能な人はどんな人なのであろうか?
…非常に困難なのでは…という問題はあるのだが…)

建築業界はその結果として
実務として…
どのようなお仕事をしているかと言いますと
いわゆる「減額案」作りが日常の作業となっています。
ほぼ全てのプロがこの作業をするのが日常でしょう。

私たち(=市民・消費者)の要望を聞いて「見積もり」を作成すると
1,200万円~下手したら1,400万円のご要望なのに…
それなのに「ご予算」は1,000万円。
そのギャップを埋める作業が「減額案作り」です。

ただ素材を安くすればいいという訳ではありません。
素材は安くなるけど、逆に技術料としての施工費がアップしてしまう場合もありますから
「減額案作り」はプロとしての経験値がなければできない作業です。
そういったスキルを有するプロの方々が…
無償(タダ)で…
自分の売り上げや経常利益が下がる作業を
毎日毎日一所懸命にやっているのが現状の建築業界です。
なかなかhappyな感じがしないでしょ。可哀想ですよね。

そして建築業界は金額と依頼者の数が特殊な業界でもあります。
年間、10件の依頼者と個々に2,000万円の契約をすれば
年間の売り上げが2億円になります。

たった10人のお客様で年間の売り上げが2億円だなんて
飲食業の方からすると
1日のランチタイムの人数以下でしょうからね。理解の範疇を超えているでしょうね。

そしてたった1件の依頼者との契約が未達成になっただけで
売り上げ1割減!年商2000万円減!!
…というある意味凄い事になっちゃう業界ですからね。

結論といたしまして…
ほとんどの「私たち(=市民・消費者)」は
建築のほぼ全てと言ってもいい材(素材)と工(技術)の
その両方の差異と選択についての重要性に関するスキルを有していません。

そうなりますと水はやはり低きに流れますから…
ご予算金額だけは安き金額提示の業者さんに引っ張られます。
そう…「素材は何でもいい。10年保証なら10年と1日モテばいい」
…という考え方の方ですね。

「私たち=市民」のスキルアップ養成をするという事は
さらなるタダ働きですから、それをする猛者もさすがにいないでしょうからね。
結果、お仕事を断らずに「なんとか減額案を作ります。」という作業を
建築業界は皆選択しています。

建築業界を「お弁当屋さん」に例えてみましょう。
あなたはお弁当屋さんです。
お弁当はワンコインの500円の「のり弁当」から1,000円の「スペシャル弁当」まで数種類用意しています。

さぁ昼になりました。
お客様がみえました。

「ハンバーグ弁当をください。」
「はい、ありがとうございます。700円になります。」
「すいません。お金は500円しかありません。」
「それでは“のり弁当”はいかがですか?そちらは500円になっています。」
「すいません、どうしてもハンバーグが食べたいのです。」

ここで「他のお店をあたってください。」とか
「残金の200円を明日に持ってきてください。」とは建築業界は言わないのです。

「それでは、この3個入っているミートボールを無しにして500円というのはいかがでしょうか?」
「すいません。言い忘れましたが、ミートボールは譲れないのです。“しば漬け”不要ではいかがでしょうか?」
「“しば漬け”だけで200円も値引きはできません。困りましたね~。」
「あぁ、今、他のお弁当屋さんから、“しば漬け”のみで500円OKが出ましたので、ごめんなさい。
このハンバーグ弁当はいりません。それでは失礼いたします。」

並んでいる全員のお客さんがこの調子なのです。
それでも弁当を売るのが建築業界なのです。

うちのハンバーグは国産肉にこだわってるのに…とか
添加物や化学調味料を…などのこだわりなんて関係ないのです。
【食】のプロがこだわれるのは、ほぼほぼ皆、【食】に関してはプロであり
「私たち」皆が、それなりのスキルを有しているからなのである。

建築業界は様々な「こだわり」を発信しながらも
その「こだわり」の維持が実に困難な業種なのです。

私たち(=市民・消費者)のスキル不足によって
「こだわり」とは真逆の、ぼかした…ごまかしたような減額案作りを
毎日毎日させられている大変な方々なのです。

以前の消費税アップ前の「駆け込み特需」の頃に…
多数のお問い合わせいただいた「百年杉」床材のうち
設計会社・工務店という建築業界プロからの問い合わせ10件のうち
ご購入はたったの1件。
それに対しまして、お施主様よりの直接のお問い合わせは
その全てがご購入いただいた事を経験致しまして…

畦地製材所さんと弊社による「プロは敵か味方か?」という議論をした事があったのですが
我々の結論としましては…
敵味方というより、建築業界の方々は「私たち」のスキル不足による大変なご職業という認識となりました。

その結果…
「【高樹齢の最高品質の杉】を使うだなんてとんでもない!!
予算削減案はまずは床から!!(最も簡単な減額作業ですしね)
ほどほどの杉、そこそこの杉、お客が杉を望むのなら、杉に変わりは無いんだから…安価な杉を探すまでさ。」という事がいつものように…
あの頃もおこなわれていただけの事なのでしょうね。

【百年杉】やそれを上回る【江戸時代に生を受けた杉】といった
【最高品質の杉】は
私たち市民=消費者が自ら弊社にご発注いただかなければ入手は困難なのです。

私が【百年杉の10年】としまして、セミナーなのでお話しさせていただいている
【百年杉】を身近に置いていただいた方々の各種の症状改善の「個人の感想」は
その全てが「最高品質の杉=最高に香りが濃厚な杉」にこだわったケースですので

「他の杉だとダメなんでしょうか?」という事をよく聞かれますが
そのお答えとしましては、決して意地悪ではなく
「やったことがないので知りません。」ということになりまして…

その心といたしましては
「素材の違いで、品質の違いで…人生変わるんだよ。」という冒頭の言葉に戻るのです。