杉の家具

ドラム缶級の家具

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そこに家具(=吊り戸棚)があります。まったく同じ大きさと機能性ですが、決定的に違う点があります。

一方はポリエステル合板・シート張り合板・メラミン(デコラ)などの素材で出来ていて、調温・調湿作用がゼロです(温度面ではゼロどころか屋内温度を外気温度に近づけてしまいます。冬は部屋を寒く、夏は暑くしてしまいます)。

そしてもう一方の家具は、まったく同じ大きさの「スギの家具」でして、調温作用・調湿作用があります。調湿効果はおよそ※1 缶コーヒー半分ほどになります。この吊り戸棚は普通サイズの1/4ほどの大きさですから、通常の大きさだと缶ビールほどの量を吸放出するでしょう。

  • 1 その木材(スギ)にどれくらいの調湿量があるのか?は空気中の湿度の変化により吸放出する水分量も変化しますし、同じスギでも赤身部は少なくて白太部は多いなど個体差もあります。そこで弊社では上村武先生の「木づくりの常識非常識」(学芸出版社)内の「10.5cm角のスギの柱1本の中には屋内にある状態でふつうビール大びん2.5本分の水分が入っていて、その中の0.5本~1本分ほどは室内の湿度状態に応じて出たり入ったりしている勘定になるのだから驚く(25p)」との記述より…

0.0331㎥(10.5角の材積)あたり317ml~633mlの吸放出量
というのを基準にして
1㎥あたり(=1辺が1mのサイコロあたり)約9.6リットル~19.1リットルの吸放出量
としてその中央値である
1㎥あたり(=1辺が1mのサイコロあたり)約14.4リットルの吸放出量=調湿量
という計算式によって算出しています。

平均的な大きさの木造住宅においては、吸放出作用を妨げない塗料を使うか無塗装の場合、年間でドラム缶2本分の水分を吸放出すると言われていますが、何かひとつがいきなりドラム缶級の調湿(吸放出)をするのではなく、もちろん、たくさんの木部の調湿効果の総量がそうなるのです(とりわけスギは調湿効果の高い樹種です)。でも上記のようにまったくドラム缶2本分の総量に貢献しない家具もあって、今は残念ながらそういう家具の方が多いのが事実です。

調湿する家具

この家具でおよそ 10.5 ℓ調湿

一般に無垢材の家具といえば、欧州の「オークの文化」ですとか、素材としては広葉樹を連想する方が多いかもしれません。ところが弊社では「スギの家具」をお勧めしています。

なぜ今までは主に広葉樹を使ってきたのか?と問うと、「材の狂い(動き)が少ない」などの答えがよく返ってきます。狂う…動く(=木材が膨張~収縮する)ことが少ないということはどういうことでしょうか?なぜ木材は太ったり痩せたりするのかというと、調湿作用をおこなうことによって「動く…狂う」のですね。夏の多湿時には水分を吸って、室内の湿度の上昇をやわらげてくれる。冬の乾燥期は湿度を放出してくれる、という過程で木は動きます。ですから「狂いの少ない木」というのはそれだけ調湿作用も少ない木ということが言えます。

夏季~冬季の温湿度変化の極めて激しい我が国では、健康面において特に湿度調節が重要になってきますので、(この辺の詳細は「杉のリノベーション」を読んでください)弊社では「スギの家具」をお勧めしています。

家具とは建築工事にあらず自在に持ち運びができる用具でもあります。賃貸物件でもお引っ越しでも移動可能な資産ですので、その高い調湿効果の恩恵を場所を変えても得られ続けられる用具なのです。マンションによってはスギの床などの施工が事実上不可能な物件もございます。そんな場合でも「スギの家具」によって「スギの効能」を得られるのです(詳しくは「スギの効能」をお読みください)。

「スギの家具」の特徴

その高い吸放出力による調湿作用はそれだけスギが太ったり痩せたりするということですから、スギの家具は大きく形状変化するということでもあります。

特徴としては…

  1. 豊かな芳香がする
  2. 高い調湿作用
  3. 免疫力向上が期待できる家具
  4. 調温作用(低い熱伝導率)
  5. 広葉樹と比較して大きな形状変化となります。

1. ~ 2. に関しましては「スギの効能」「杉のリノベーション」をお読みになってください。ここでは割愛させていただきます。

3. 免疫力の向上が期待できる家具

「杉のリノベーション」の項でもふれましたが、インフルエンザに代表されるウイルス生存率は温度湿度が低いと高くなって(だから私達は冬季にかかりやすい)、湿度50%を境にそれ以上だと急激にウイルス生存率が低くなりますから、(3%程度まで激減します)身近にスギがあることによって調湿作用をしてくれて、ウイルス感染が低くなるということが期待できます。これはいわゆる「スギは敵(ウイルス)の数を少なくしてくれる!」というお話でした。そしてここでは「スギは味方(免疫力)の数も増やしてくれる!」というお話をさせていただきます。

実際に九州大学の綿貫茂喜教授が2004年に中学校の机を変えることによるインフルエンザ予防効果実験をされましたが、スギの机と椅子の教室でのインフルエンザ欠席者は5人!に対して従来のスチール・合板製の机と椅子の教室では65人!という研究結果がでました。この差の原因いったい何だったのでしょう??

綿貫教授はさらに詳しく調べられています。
生徒さんの血圧・脈拍・体温を調べました。…けれどもさほど変化はありませんでした。

ではなぜ??

実験開始から2週間後、免疫機能の指標となる唾液(だえき)の中の「免疫グロブリンA」の増加率が…従来のスチール・合板製の机の教室の生徒さんがたった4,4%だったのに対し、スギの机と椅子の教室の生徒さんは37%だったのです! これぞまさしく桁違いです。

教室内の空気の濃度を計測したところ、天然セキステルペン類(スギの芳香によるモノ)の濃度が高かったそうです。

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そしておそらくは、先日、京都大学の川井教授が発表されたように、天然セキステルペン類(頭がすっきりして健康や学力アップ)だけでなく…セドロール(副交感神経を高め、血圧低下、心拍数減少など鎮静効果あり)サイトカイン活性(炎症反応、免疫応答の調節アポトーシス誘導、造血、成長因子として作用)

更にはまだ解明されていない各種の恩恵物質がスギの机と椅子より放出されていたのだと推測されます(なにしろ教室内の違いはそれだけなのですから)。どうやらそれらの恩恵物質によって免疫活動を高めてインフルエンザになりにくくしたらしいのです。
机と椅子を変えるだけでこんなにも違うのです。

4. 調温作用

たとえばドアのレバーハンドルとか屋内の鋼製部を触りますと、冬は冷たくて、夏季に直射日光があたる場所にある場合は「熱ちち!」となりますよね。このように鋼製の家具はもろに外気の温度変化の影響を受けます。夏は熱く冬は冷たい部材なんです。それと同様に冒頭のポリ・シート合板などのケミカルな複合物質もそうです。冬は冷たくて夏は熱くなってしまいます。

よくTVなどでサーモグラフィーの映像を見る事ができますが、冬季に屋内に「冷えている家具」があるということは、その家具が「冷え」の源になって、その回りの空気を冷やしていきます。残念ながら、その家具自体がお部屋を冷やしているのです(青い冷えの源がその回りも薄い青にしていく…あの映像です。逆に夏なら熱さの源の熱い家具が赤く見えてその熱さが回りの空気を薄い赤にしていく…あれですね)。木はもともと熱伝導率が低いのですが、スギは木の中でも広葉樹などより更に熱伝導が低いのです。だから「温まりづらいけど冷めにくい=外気の温度変化の影響を受けづらい家具なんです(熱伝導率に関しましては「尾鷲香杉」をお読みください)。

5. 形状変化

これに関しましてはポリ・シートなどのケミカルな素材は「呼吸=調湿作用」をしませんから、基本的にほとんど形状変化をおこしません。そして広葉樹も調湿作用が少ないですから「スギの家具」より少ない形状変化です。前述のなぜ無垢の家具は広葉樹が主流なのか?と言う答えの「材の狂い(動き)が少ない」から…の話に戻ります。

弊社の経験でも同じ家具を製作しても、エアコンが無くては生きていけないような空間に「スギの家具」を置きますと「大きな形状変化」や「割れ」などを起こしやすく、木や紙などドラム缶数本分とまでは言わなくても調湿素材があるお部屋では形状変化も少ないように思います(同じ家具を作っても商業施設に置くと割れて、住宅だと割れなかったりします)。逆に考えれば、それだけエアコン必須のお部屋では「スギの家具」が調湿にフル稼働してくれているからなのですが、ここは大きな留意点になります。「スギの家具の各種の恩恵をいただいて、しかも形状変化の少ない家具が欲しい」という願いには残念ながらお応えする事はできません。

スギの家具にて、その恩恵(=森の恵み)をいただくのであれば、スギのダンス(形状変化)をご了承いただかなければならないのです。

広葉樹とスギ(針葉樹)

針葉樹(杉など):魔法を外に出さず体内にギュッと凝縮している木 木材自体に「木力(きぢから)」がある。広葉樹:豊かさ(魔法)を分け与えてくれる木、木材自体に魔法はあまりない=「木力(きぢから)」がない(おとなしい)

落葉広葉樹の落ち葉はフルボ酸鉄を産み、それが河川を通して、海の魚まで増やしてくれるということが今は科学的に証明されています。本当に素晴らしい。まるで「花さかじいさん」のようなありがたさです。アムール川流域の豊富な落葉広葉樹が(残念ながら過剰な伐採によって減っているらしいのですが…)豊かなオホーツク海の「海の幸」の母なのは、周知の事実です。

私たちはこのように落葉広葉樹は「大地にあって恩恵のあるたいへんありがたい木」だと考えています。「家具に使うべきでない」とまでは申し上げませんが、我が国に伐るべき落葉広葉樹は極めて少なく、広葉樹が計画育林されている森林も多くはありませんので、伐るべき木というより守るべき木の印象を持っています。我が国が使い尽くしてきて枯渇させてきた外国の広葉樹に関しましては、言わずもがなです。

「木力(きじから)」というとわかりづらいでしょうか。

落葉広葉樹は大地にあって落ち葉を通して、海まで豊かにしてくれる魔法使いです。されど木の幹(=木材)にあまり「木力(きじから)」は感じられません。木材としては「堅い」のですが一部の広葉樹を除いて、多くの広葉樹はその木材を外部に放置させますと溶けてしまうかの印象を受けるくらい早々に分解されます。

逆にスギに代表されるようなヒノキ、ヒバなどの針葉樹は葉を落とさずに、魔法をその外に出さずに木の幹にギュッ!っと凝縮している印象があります。

木材を外部に放置しておいて、紫外線や風雨に痛め続けられても、もちろん永遠ではありませんが、実にしぶとく生き残ります(辺材の白太は早々に分解も中の赤身部はじつに強いです)。そんな虫や紫外線や風雨の攻撃にも対抗する魔法を幹(=木材)に宿している印象があります。そんなスギは大地を豊かにする木ではないのですが、我々の身の回りにあってその各種の「木力(きじから)」(芳香に含まれる恩恵物質など)によって恩恵をいただける木だと考えています。

「スギの家具」=「呼吸する家具」はいかがでしょうか?

棚板1枚からオーダーで製造出荷いたします。欲しい寸法などお問い合わせください。

※塗料について

弊社では「スギの家具」には米ぬかワックスの「キヌカ」を塗装するか、それをお客様に推奨させていただいています。せっかくの「スギの家具」もその表面をウレタン塗装などでコーティングさせてしまっては、「スギの効能」はまったくありません。ゼロです。

なぜ「キヌカ」を使っているのか?その理由は…

  • ①クリア塗装することによって木目が「濡れ色」になってスギの雄々しい木目がより明瞭になるから
  • ②自然塗料を使う事によって、調湿作用による木材の形状変化をより緩やかに遅らせることによって「割れ・ねじれ」などを最小限にしたいからです。

そして数ある自然塗料のうちなぜ「キヌカ」なのか?は(米が原料のため)無臭に近い塗料だからです。スギの豊かな芳香をお楽しみいただく為に「無臭に近いキヌカ」を使用・推奨させていただいています。亜麻仁油・エゴマ・柿渋などが主原料の塗料ですと、それぞれの主原料の植物の強烈な匂いがどうしても時にスギの芳香に勝って(まじって)しまうからです。

けれども使用し続けてきましての「キヌカとスギの結びつき」ですが、決して強いモノではないようにも理解しています。その詳細の記述はここでは致しませんが、塗料の分子と木材(スギ)の分子が結びつくかのような印象の相性を「スギとキヌカ」の間には持ってはいません。

ですから現在のところ、スギに最も相性の良い塗料(両者の結びつきが強くて、しかも無臭)というのがまだ無いというのが正直なところなのですが、無塗装ですと形状変化が大きくなりますから、やはり何かを塗装して出荷したいのです。この「塗装」につきましては、上記をご一読くださりまして、ご質問がありましたら直接お問い合わせください。

オーダー家具各種承ります

(価格に取付費などは含みません)

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「シューズボックス」
(ホワイト色染色)
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※マンションセンタードア・建具もおつくりいたします
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