1. 杉ならなんでも効能はあるのですか?
必ずしもそうではありません。効果の少ないスギも残念ながら多数流通しています。

精油分(=エッセンシャルオイル)が豊富な杉の方が効果があると思われます。木材が持つ精油分は産地や樹齢によって異なります。 一般的に高樹齢の木の方が精油分は豊富です。ですから間伐材よりも主伐材の方が効果が高いです。

また50℃を超えるような高温乾燥を施して精油分が流出してしまったスギなどにおいては効果が低くなります。 ですからそのスギが持つ、もともとの素質とも言える精油分の量とその製造加工法などの言わば「履歴」が重要になってきます。

2. 杉の花粉症の人は杉によってアレルギー反応を起こしますか?
スギの花粉症とスギの木材との関係はありません。

ただスギの木材じたいにアレルギー反応を示す方も「万人に一人」くらいはいらっしゃるでしょうから事前にご相談ください。

3. 化学物質過敏症やシックハウス症候群などの症状がある人でも大丈夫ですか?
スギの空気浄化作用は症状の緩和につながることもあるのですが、特にスギの木材の赤身部や黒芯部などじたいに反応を示す方も多いようです。

小さな材を身近に置く事からはじめて、テストしていくのがいいのでご相談ください。

最初は白太を身近に置いて~一定の期間を経てから赤身に変えていく…ということも可能です。詳しくはご相談ください。

4. なぜ「尾鷲香杉」の床板は赤身部のみなんですか?
白太(しらた)部はスポンジのような部位で湿度調整能力や空気浄化能力は赤身より優れているのですが、 摩耗には弱いので壁板には向いていても床板には不向きな部位です。

そこで「尾鷲香杉」は赤身部(黒芯も使います)のみの構成とさせていただいています。

5. 低温乾燥プラントに入れればどんな杉でも凄くなるのですか?
低温乾燥プラントは優れた機械です。精油分はそのままに水分だけを除去する魔法のような装置です。

けれどもその木材が持つ精油分を増やしてくれるわけではありません。 もともと有している精油分が少ない板が低温乾燥プラントを経由することによって、まるでマグロの大トロや霜降り肉のように急に精油分が豊かになるわけではありません。

「尾鷲香杉」は樹齢で言うと80年~100年くらいの、精油分豊富な丸太を厳選して、それを低温乾燥プラントを経由させて製造した、精油分の量としては日本一級の杉の床板です。低温乾燥プラントを使えば何でも「尾鷲香杉」のような輝きになるわけではありません。

6. 「杉の効能」はどれくらいで現れますか?
「すのこベッド」のご使用例ですと、使用1日目でお年寄りの夜間多尿症の方のトイレに行く回数が減ったなどの事例はたくさんあります。そういった意味ではすぐに効果がでている方もいらっしゃいます。

けれどもスギじたいは薬ではありませんので、一定の効果をお約束することはできません。その数値化は難しいのですが、杉が出してくれる各種の恩恵物質や空気浄化機能によって、徐々に免疫力の向上に結び付いているのでは…と考えています。

7. 杉の白太と赤身はどっちがいいのですか?
どちらを使うのか?は適材適所になってきます。どちらが優位か?という問題ではありません。

白太は湿度調節機能・空気清浄機能が高い部位です。ですから湿気がこもりがちな収納内部などに白太を施すのはとても良いことです。 赤身は白太ほどたくさん呼吸してくれませんが、たくさん呼吸するということはそれだけ形状変化を伴いますので、あまり形状変化してほしくない場所には赤身の方が有用になってきます。

また赤身はその「甘い芳香」の中に多くの恩恵物質が含まれていると考えられますので、芳香が屋内に広がる部屋の際下部の床材にも向いています。 おおざっぱに言えば白太部は調湿効果が高いという特性によって(その結果ウイルスやカビ菌が活性化しづらい湿度状態の維持などの)パッシブ(受動的に)に私たちの健康面をサポートしてくれて、赤身部はその芳香に含まれている恩恵物質によってアクティブ(積極的に)にダイレクトに健康面に作用してくれるという事です。

スギは軽軟な素材ですが、赤身は白太より堅いので、やはり摩耗を考えれば床には赤身がむいています。 外壁やお風呂などに使用する際も白太は対候性が低く紫外線や水による腐食に弱くカビやすいので、これらの場所でも白太は不向きです。

このように一般的にその用途の多様さから白太より赤身の方が高価になりますが、赤身は節がでやすい場所でもありますので、赤身で節の無い板というのは希少価値が高く、とても高価になります。 それに比較して白太で節の無い板の製造はそんなに難しくないので、同じ節のない板でも白太と赤身では価格は大きく異なってきます。

8. 杉の香りはどれくらい持ちますか?
香りの源はその木が持つ精油分です。精油分は時間をかけてゆっくりと放出されていきますが、屋内で使う分には半永久的と言ってもいいと思います。

精油分が無くなっていく大きな要因は紫外線劣化です。直射日光に長時間さらしますと木は精油分を放出して身を守ります。 高温乾燥装置を使った際に精油分が流出するということはそういうことです。

身近な例で言いますと、盛夏の車内などに杉の板を放置しますと板から「香り」がしなくなります。 やはり木は(一部の種類を除いて)50℃を超えるような状況に長時間さらされる場所においては生きていけないようです。 直射日光に長時間あてるような事をしなければ、香りは300年持つのか?500年持つのか?という具体的な数値は言えませんが、人間の人生の長さと住宅のライフサイクルを考えますと「半永久的」という表現をさせていただいています。

9. 杉の香りがしなくなりました。原因はなんですか?
慣れによって感じなくなっているだけで、「香り」も恩恵物質の放出も続いています。 早ければ数日~1週間程度で人は香りに慣れてしまいます。(例)大規模「スギのリノベーション」をしたのに香りがしなくなりました!

  • 宅急便屋さんとか知り合いの人が玄関口で「木のにおいがイイですねぇ!」とか言う事はありませんか?
  • 宿泊旅行に行って帰ってきて、久しぶりに玄関のドアを開けた際に「スギの香り」を感じる事はありませんか?

「あります。」 「笑い話」のようですが、こういうことはよくあります。 カンナ屑の厚みは0.1ミリ以下です。精油分豊富なカンナ屑も数日から数週間で精油分が揮発して無くなってしまいます。

チップ枕などに使用するチップで厚みは2ミリくらいなのですが、2ミリもあれば若干香りが薄くなりますが3年くらいしても「香り」はたっぷりします。 各種の木材はその何倍もする15ミリとか30ミリとかの厚みですから、「香り」は半永久的に持続します(恩恵物質の放出も同じ事だと思われます)。 逆に「香りに慣れて感じなくなってきた頃」にはイイ感じで体質改善効果が上がっているのでは…ということかもしれません。

10. 杉と桧だと杉の方がいいのですか?
そうではありません。良い木も悪い木も無くようは適材適所です。

ヒノキという木の香りには覚醒効果があります。 ひらたく言えば「やる気になる木」という事です。スギの芳香には「鎮静効果」があります。こちらは言わば「落ち着く木」ということです。 覚醒も鎮静も欲しい時期は違っても人はどちらも欲しい作用です。

「覚醒効果のヒノキ」ですから寝室やベッドの素材にはむいていない印象を持ちますが、世の中にはヒノキのベッドがたくさん売られていて、「寝つける」という使用者の声も聞こえてきます。 これはスギほど高くないながらもヒノキも有する空気浄化機能が働いている結果だと思います。屋内の空気が良くなることによって「快適な睡眠」になっているのです。 けれどもスギのベッドの方がヒノキのベッドより、より深い睡眠を得られると推測いたします。

また、同じスギでも間伐材などの若い木よりも主伐材の高樹齢の木の方が精油分は豊富で「より深く眠れる」でしょうし、白太部が多いスギのベッドより赤身部の多いスギのベッドの方がより「深い眠り」につけるのでは…と考えています。このように樹種だけでなく同樹種でも樹齢などの個体差や同じ丸太でもその部位による違いまで考えながら適材適所の組み合わせていく事が重要です。

11. スギの間伐材は扱っていませんか?
その答えの前にまず、よく言われる「間伐材」とは何なのか?を考えてみましょう。

最終期に伐採する木の主伐を樹齢150年で伐採したとします。劣性間伐をしていって素性の良い木を残して最終的に150年後に残った優性木を伐採したとします。

その間に樹齢で言うと30年、50年、80年、100年、120年の5回に分けて「間伐」という行為を行って木を伐採したとします。 そうした場合、樹齢100年の大木も「間伐材」となるのでしょうか? これはいじわる質問ではなく、現在の世の中の奇妙な「間伐材ブーム」に違和感を感じてしまうのでお話しています。

1,000の野球チームがあってトーナメントで戦ったとした場合、優勝チームは1チームですので999試合行って1チームの勝者と999チームの敗者が生まれます。 「敗者のチームを取材したい!」といっても、1回戦で大差のコールド負けした弱小チームも決勝戦で1点差で惜敗したチームも同じ敗者ですよね。 間伐材も同じです。昨今の「間伐材の有効利用のみが素晴らしい?!」という論調にはやはり違和感を覚えます。 あえて厳密に言うなら「間伐という行為はあれど間伐材は存在しない。」というのが正しいでしょうか。 野球であれば、勝敗という優劣を決める試合というモノは存在しても、ひとくくりの敗者は存在しないはずです。 敗者には999の個性があるはずで、それ一口に「負け組」とは言いませんよね。

qa_001

写真を見てください。3本の丸太があります。

小さい丸太で樹齢20年くらい、下にあるのが40数年くらい、差し金が置いてある直径40センチくらいの径の丸太で60数年くらいでしょうか。 弊社が「スギの効能」としてお勧めしているスギの豊かな芳香はスギの赤身部が最も香ります。

3本の丸太を見比べてください。 丸太じたいの太さは違えど、外周部の白太部の大きさは同じくらいですよね。
一番小さな丸太は、まるでおむすびの梅干しくらいしか赤身部がありませんが、白太の幅は3本とも同じくらいです。

太い丸太の価値とはこの赤身部が多いということもそのひとつです。

防虫性があって水や外部などでの対候性も高く、豊かな香りがして、材としての収縮も白太に比べて緩やかで割れたりしづらい赤身部の量ということです。 下の写真は3本のうち最も太い丸太です。

qa_002

この太い丸太でも木造住宅の軸組み構造用の柱は四角で囲んだ芯を含んだ1本しかとれません。破線部のような場所ではとれないのです。

そう考えますと、これくらいまで太くなった丸太では柱をとるには適さない(=もったいない)丸太というのがおわかりいただけると思います。 これくらいまで太くなったのなら差し金を置いてあるあたりで板を複数とる方が効率良い。そして丸太はこうやって太く見える丸太でもいろんな特性があります。 四角線で囲んだ樹芯部は芯をもっている分だけ構造上「強い」のですが、こういう四角に製材して使う分にはまだしも、もっと細かい板に製材するとまるでプロペラかのようにねじ曲がる部位です。

樹芯部にいけばいくほど「強い」のですが枝跡である節がボコボコと多くあります。乱暴に言うと、樹芯部のまん中は大きい部材として使うのならいいけど、板にすると使えない部位なんですね。 そして丸太は緩やかな円錐形ですから、この丸太の上部はもっと細くなっています。 そう考えますとこの丸太から効率良く(=枚数多く)比較的節が少なくておとなしい部位の材(=家具製作などにむいている材)で4mくらいの長さの板を製材しようとした場合、とてもじゃありませんが幅が30センチもの幅はとれないと言う事がお分かり頂けると思います。

qa_003

次の写真は中くらいの丸太の写真です。

この丸太を線のように製材して柱をとれば、節も少ない(外側は枝跡が少ないので…)柱が効率よくとれます。

かつては真壁工法といって木造住宅の中でも柱が見える工法が主流でした。

その際に見える柱面の節の少ないモノや節の無い柱がその希少価値から高価なモノとされていました。

林産地ではそういった節の少ない柱をとる為に1回~2回程度の間伐の後に、この写真のような伐り時期(柱どりとしてちょうどいい時期)に一斉に全ての木を伐採する方式を日本中でおこなっていました。
その際に間引きされた丸太は3本の丸太のうちの最も小さな丸太のような木です。

qa_004

こういう森のつくりかたですと間伐材か?主伐材(=節の少ない柱)か?という話も成り立ちます。

けれども真壁工法は少なくなりましたし、真壁工法であっても「節は自然の存在なので、節があってもいいんだ。

高価な節の少ない柱よりも質としてなるべく均一な節のある柱が欲しい」というのが今の考え方の主流です。

節の少ない柱という付加価値が使われなくなった現在、産地ではもっと丸太を太くしてから板や床板などを生産して不可価値をつけていく動きになっています。

上記の写真は3本の丸太のうち最も太い丸太の上に「尾鷲香杉の床板」を赤身部で製材した外周部でとった板(弊社では家具に使用しています)の端材を置いた写真です。

こうやって見ると「尾鷲香杉」に使用する板の丸太とこの丸太の径はたいして違わない事がおわかりいただけるはずです。

qa_005

これはもうちょっとアップにした写真です。

「尾鷲香杉」に使用する丸太の年輪の細かさ(=成長の遅さ)がおわかりいただけるでしょうか?

それともうひとつ…これは伝わらないかもしれませんが、「尾鷲香杉」の丸太はきわめておとなしい素性の年輪であって、この丸太はちょっと暴れやすい、ちょっとやんちゃな相をしています。

プロであれば皆同じ事を口にするでしょう。

もっとアップにしてみました。

qa_006

年輪の細かさの比較だけでなく、下の丸太は素材として粗いパサついた感じがしませんか? …上の「尾鷲香杉」の板はしっとりと、そしてしなやかな精油分豊富な感じがおわかりいただけますでしょうか?

「尾鷲香杉」をとる丸太は樹齢でいうと80年~100年以上の精油分豊富なスギだけを選んで(写真の3本の丸太の中で最も大きな丸太と太さは変わらずとも樹齢は倍くらいです)作っています。ここまで何回もの間伐をおこなってじっくりとゆっくりと育ててきた木です。じっくりと育った高樹齢の木ほど精油分が豊富です。

そんな素晴らしい素材でも、この木の伐採は樹齢150年の木を育てる為の間伐という行為になります。 今一度最初の写真をご覧になって最も細い丸太をご覧になってください。この丸太の中で「価値ある赤身部」はそのエリアが小さすぎてねじ曲がってしまうエリアです。 また丸太は円錐形ですから先に行くともっと細くなります。

木は年輪が細かくて(=成長が遅くて)大口径になるほど材としての素性がおとなしくなります。 板でいうなら年輪の曲がりが少なくてまっすぐに近い木ほどおとなしい木であり精油分豊富な木です。

qa_007

そう考えてみると間伐材で家具を作るとなると、いったん小さなブロック状に裁断して接着剤で組み合わせるような積層集成材(ラミナー)と呼ばれる方法でないと難しいことがわかります。

更には間伐材もたしかに大切ですが、1000チームの優勝チームである主伐材がそれにふさわしい価格にて評価されていないのが問題ではないでしょうか。 その主伐材の評価に相当するお金が山に還って新たな植林などのスタートになるのですから。 捨て去られている間伐材であるのなら、その有効利用という考えは素晴らしいです。

けれども同じスギでも短樹齢のスギと高樹齢のスギではまったく異次元のポテンシャルを有するということ。 丸太はその部位によって特性があるので、一見大きく太く見えても木材として使いづらい部位も多いので、細い丸太ではそのまま板として利用することが困難な事を知っていただければと存じます。