わたしたちの会社にお越しになる方々の多くは
眠りに満足されていない方…お困りの方は多いです。
回りまわって…「たどり着きました。」的なお話をされる方はやはり多いです。
ラジオでもTVでも新聞・雑誌でも…
「眠れない」ヒト増加中…という話はよく耳にするのですが
眠れないヒトが増えている原因を探るような記事にはほとんどお目にかからない。
「睡眠障害 原因」と検索しても…
「身体的・生理的・心理的な要因の乱れ」である…のような記述に終始しています。
それらは正確には原因ではありませんよね。
ようは「なぜ?!身体的・生理邸・心理的な乱れが
これだけ多くのヒトのおきているのか?」についての考察については
ほとんど為されていないということです。
ほんとにこの国らしい…と言えばこの国らしい。
深く考えない。考えないことにするヒト多き国…。
わたしは「木の専門家」として
眠れない原因は現代慣行建築がもたらす屋内空気質に問題があるのでは…
とにらんでいまして
その具体的な解決策として【百年杉】を掲げ続けていますが
設計・建築業界人から、同様な考えが披露されることはほぼありません。
「わたしたちは設計・建築屋だよ。“睡眠”の保証なんて、できっこないでしょ!」
君子危うきに近寄らず…ですから
また明日も明後日も「眠れない住まい」は完成し続けます。
すべてが「縦割り」ですから誰も責任をとらない。“おせっかい”をやかない…。
わたしたちは、言わば人知としての英知やシステムではなく…
自然界の「森の恵み」無き「住まい」では
どんなに素晴らしい設計や施工という「人知」があっても…
いくら「衣食」が完璧でも…
「住に木(杉)が無ければ到達できない領域がある。」という考え方です。
そしてここまで「乾ききった現代社会」では
同じ杉でも【百年杉】くらいの【杉の質】が無いと
なかなか負のスパイラルから抜け出せないのでは…という考え方。
言わば「杉の質」の話。
わたしたちはこの二つの考え方が大きな柱ですね。
だいたい睡眠時にすることと言えば
寝室内の空気を吸って
吸引した酸素を血液を通して全身に届けて
使用済みのCO2を体外に排出するという数時間に及ぶガス交換行為なのですから
睡眠時の不都合な症状の要因に寝室の「空気の質」を疑うのは
極めて自然な考え方なはずです。
そして「屋内空気の質」を決定づけるのは
「建築素材の質」と「居住者所有物の素材の質」のはずです。
「良いか悪いか?」のような
2択3択クイズのような発想ではなく
やはりなんでも…「質」の見極めが重要なのに
「質の見極め」ができない現代社会という感じ。
「眠れる素材と眠りを阻害する素材」という質。
「杉であればいい…杉は無害だから使う。」というヒトと
「同じ杉でも、睡眠に大きな効果が期待できるような質の杉を使う。」というわたしたち。
言わば「質無き杉」と「杉こそ質」という両者の考え方の「質」の違い。
「質の話」ができない典型的な言葉…
(「質の話」というか…ディスカッションができないという感じか)
「でも高いんでしょ。」
日本から米国西海岸まで直行便で届かない航空機のチケットがいくら安いからと言って
買いますか? はなから海にドボンという性能の飛行機と西海岸まで届く航続距離がある性能の飛行機という「質」の違い…
「質」が違えば「結果」も変化するのは当然。
(その「変化」が周りの人間にまで見えるようになるのか?…はまた別問題)
さらには安価で高品質なモノなど無いのも道理であるはず。
そしてどうやら真理としては
お金よりも年月なのである。そこが実は大問題。
眠れる【百年杉】のパワーを得るために
杉さんたちにはどうしても約100年という年月が必要であるのなら
いくらお金を持参しようが…「待たなくては得られない」のだ。
クラウドファンディングしようが何しようが無理。
年月をファンディングできないでしょ。
いま買えるのは
たまたま100年後に【百年杉】を必要とするヒトがいるだろうから
そういう植え方と施業を100年間リレーでしてきたヒトの情熱の継承が
たまたまあったからです。
「樹齢60年くらいの害の無い杉」が
「眠れる【百年杉】」にバージョンアップするまで待たなくてはならないのである。
「お金」だけでなく「年月」という「質」の話。
すっかりそういう話ができる人間がいなくなったから
ひとりごとのように記しています。