『百年杉』の専門会社 加藤木材

濃厚な体験の秋は続きます…
19日(土)は「まちゼミ」を終えて、来訪者の方々を見送ってヘトヘトだったのですが
(講演もそうですが、いつも全力だから終えるとヘトヘトです)
【百年杉】体感ルームの【百年杉】ベッドで30分ほど仮眠をとって
(酸素をたくさん吸引する睡眠ですので、短時間でもぜんぜん違います)
関越道を一路北に向かいます。

目指すは群馬県のみなかみ町です。

目的は「茅(かや)刈り」です。
草刈りに宿泊費やら高速代やら…2万円近くかけて駆け付けます(笑顔)。
そう…ワークショップは1泊2日で、すでに始まっているのです。
途中参加を急ぎます。

暗くなった夕刻に到着。
夕食をいただいた後に、お酒を飲みながら勉強会が始まります。

うぉー!最高です!(笑)たまりません。
「堅い話は抜きで、無礼講でいきましょう!」と言いながら
同じメンバーで同じ話をし続けている、我が国の男性社会はどうも馴染めません。

わたしはお酒をいただきながら、
「堅い話を聞きたいし、したいのです(笑顔)。」

勉強会のタイトルは
「半自然草原、茅場をめぐる人間活動の意義を考える」

うぉー!ドキドキしてきます。
なんてアカデミックな内容でしょう。来て良かった~
缶BEERのプルトップを元気に「プシュ!」ではなく…
「プ・シュ~~」って感じで音を出さないように配慮しながら
廣田 充 先生(筑波大学)の話を聞きます。

(心の内)
ぼくらが黒土(くろつち)と言ってた土は「黒ボク土」って言うのか…
たしかに、放置すると、草原→赤松林になりますね。関東あたりだと…
赤松林になると土の中の色味が薄く変わってくんだぁ…
そういえば林業家の速水亨さんも「木や森ばかり見てないで、一番大切なモノは地中にある。」って言ってたよなぁ。

あれっ?!今、気がついたけど…
板倉工法の建築家の安藤邦廣先生がいるではありませんか(驚)?!

今日の勉強会をうけての、最後の方になっての安藤先生のお言葉…

「茅葺きの話の際に草原の話がでてこなくて、草原の勉強の際に、茅葺きの技術論が語られないことが問題である。」

(心の内)
わー!わー!!きゃー!! かっけーーー!!!
その通り!!!学問の為の掘り下げのみの学問いらないっ!!
ヒトの役に立たない学問は不要!
ただただ実験をしたいだけの、設計の為の設計や
お客の幸せのためでなく、金だけの為の建築なんていらな~い!!
いなくなってほしー!!
安藤邦廣先生って、やっぱ凄い方なんだなぁ。

一級建築士のヒトはたくさんいても…一流建築家の方には、なかなかお目にかかれません。
あぁ…来て良かった。最高杉…最高過ぎ。

廣田先生や安藤先生への質問が続きます。
そしたら、ある質問の返答に安藤先生が…

「植物と密接に結びついてきたこの国の文化の極めつけが茅と杉だ!!杉は建築だけでなく発酵食品の製造容器としての恩恵もあります。」

(心の内)
ぐわぁー!!!!わー!わー!!きゃー!!
かっけぇーーーー!!俺以外ではじめて聞いたかも。こんな台詞!!
俺の杉台詞に茅が加わればこんなにかっこよくなるんか?~きゃぁ~!

ただただアカデミックな学問先生じゃなく
現場を歩いてきた安藤先生の言葉は違うなぁ…。ドキドキが止まらないや。

そしたら、会場内の木材業界の重鎮の先輩が…
「杉は確かにそうですね。実はさきほど【百年杉】の“杉男”の加藤さんが駆けつけてくださって…」

なんて皆さんの前でご紹介をうけて
スピーチの機会までいただいてしまいました(感謝)。

勉強会後もお酒を飲みながらの「堅い話」は続いて
素晴らしい日となりました。
まちゼミにて【百年杉】の素晴らしさを弊社にて来訪者の方々に語る自分は
1か月くらい前の事のようですが
この日の午前中のことでした。
まったく濃厚な19年秋であって、まったく目まぐるしい1日でした(笑顔)。

翌朝は6時過ぎに起床して
保全されている茅葺き住宅の見学をいたしました。
まさに朝飯前(笑顔)。

博物館ではなく、そこから住人が普通に出てくるかのごとくの古民家でした。
「気」が違いますね。こういう家は…。
こういう家は、ちゃんとリスペクトした「怖さ」を持って見学しないと
いけないと考えます。靴を脱いで上がる際に、かつてお住まいの方に対して
手を合わせて「気」に対して「気」でリスペクトを示しました。
こういう木に宿る気の話も、いつかちゃんと書きますね。

今回のご縁を誘ってくれた友人に…
「なんで、こんな豪邸が清貧の農家の方が建てられたの?」と聞かれました。

すべては時間軸でしょう。

この住宅に構造材としての木材が200本必要だったとします。
わたしだって素晴らしい歌声を聞かせてくれたとしたら
そのお礼に1本くらいの柱を差し上げたっていい…。

そうやって200本の木材を4年間くらいで得てから
大工さんに頼んで刻んでもらえばいい。ははは。

そう…早くするから高価になります。
1本…1本ゆっくりと集めればお金は安価になるはずですし
環境にも負荷は掛からないはず。

でも年間2棟しか完成できなかった工務店が4棟できれば売り上げ2倍!
6棟完成なら3倍の売り上げになります。

ですからハウスメーカーや工務店は環境に負荷を掛け続け
「山の畑」や植えて育ててくださった先人の汗にもお金を還さずに
自らの収益のみを追求し続けます。

「早くやれ、安くやれ」の既存建築業界の意志は、地球もヒトも壊し続けるのです。

そしてそんな既存建築業界の誘いに乗り続けて
環境を汚し、不幸なヒトを増やし続けているわたしたち消費者=施主がいます。
まったく悲しいことです。

朝食をとってから
山を登って、茅場に到着。

茅を刈ります。

茅の束を5つ縛って、それが1ボッチ。
それを立てて乾かします。

これがぼくの1ボッチ。…なんとか手伝っていただいて立ちました。

 

やっぱ「見るよりやれ。」ですね。現場ですね。行動ですね。

帰りの車中はススキを見ると
「刈りたい気持ち」になりました(笑顔)。

不思議に思ったのは労務費に関する事。
ぼくらは【百年杉】を売って得たお金の中から
また【百年杉】を得るためのお金をとっておかなくてはならないのですが
草ですからね。また勝手に生えてくるから
そこのコストは考えなくていいのですよね。
種の代金も…植える手間さえもいらない。だって草だもん。栽培ではないのです。

それでメンテをすれば30年も持つ屋根だという。
凄いよね。まったく素晴らしい。アンビリーバブル!!

だから技術力を維持しながら、労働力を皆で常に出しあって
皆の家の屋根を順番に葺き替え続ければ、永遠に続くのです。

入会地(いりあいち)としてパブリックな草原さえ半自然草原として
維持し続けることは、まったく素晴らしい持続可能な開発なのです。
ハウスメーカーや工務店は、晩秋にみなかみ町に来て
茅を刈って、考え事をすべきだね。大至急ね。
「このコラムを読んだから知ってる。」とかダメね
実際に行って、鎌を研いで、腰を曲げて刈らなければ体内には取り入れられまい。

並外れた収益とは
並外れた環境への負荷と人権の侵害があるから得られるのだ。

住宅を壊す際には、一般生活時の35年分のゴミが発生すると聞いたことがある。

1年間に2棟のまっとうな100年住宅を建てる工務店と
1年間に35年しか持たない住宅を6棟建てる工務店との
未来への負荷の違いは大きい。もちろん収益は後者の方が大きいはずだ。

帰路、信号待ちをしていたら
ユキムシが舞っていた。みなかみ町の降雪も近い。

茅葺き職人さんのカッコイイTシャツの後ろ姿を無断でパシャリ!

茅葺き職人を目指す?もう、なっちゃってる?素敵な女性たちとも出会えて…
よく言うマチづくり論の…
「若者、馬鹿者、よそ者」はもう古くて
「おんな者」を足すことを強く提言したい。

スターウォーズのマスターヨーダはまったく正しくて
男性陣にありがちな…技術(学問)のみの探求は、収益のみの追求につながって、ダークサイドに転げ落ちてしまって、「きれいごとだけじゃ、食っていけないだろ!」とばかりに論理をすり替えて、環境とヒトを蹂躙し続けている。

男だけで進むと
この国の天災多き、リビルド至上のメンタリティでは必ず道を誤るよ。
決定権会議の過半数は女じゃないとね。

男はピラミッドばかり作りたがるけど、女はサークルが作れるもん。

まったく得難い経験の群馬県であった。

わたしの1ボッチを前に安藤先生とご一緒の記念写真!まったく夢見心地でした。写真嫌いのわたしの感激の1枚なり!

こういう所に来もしないで
【百年杉】とか言ってんじゃねーよ! 加藤政実!!
はい。すいませんでした。身にしみました~。
もっと精進いたします!

 

 

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