『百年杉』の専門会社 加藤木材

先日のアートイベントで
手伝いに来てくれた4~5歳くらいの男の子と
不思議な体験をしました。

彼と一緒に
「百年杉のジャングルジム」を組み立て終わって
「お話会」のプロジェクター準備も終わったので

「好きに遊んでもいいよ~」と
彼に伝えると

彼は喜々とジャングルジムで遊びだしました。

以前、他のイベントでも
「百年杉のジャングルジム」に触れたことはあったのですが
その時は他の子もいたけど
今回はほぼ独占である。

すると流石に目を離さないママからの

「イイ香りだからにおいを嗅いでいるの~」という声が聞こえたから

彼に目を向けると
たしかにジャングルジムの百年杉の棒に
鼻をつけて香りを楽しんでいるように見えました。

そうしたら次の瞬間

「あ!かじっちゃダメ!」というママの声が聞こえて
少年はどうやら百年杉をかじりだしたようなのである。

ママの止める声もヒステリックではなく
落ち着いた品格のある声だったのだが…
少年はかじったまま泣き出してしまって
10分くらい泣いていたかな。

「すいません。加藤さん!」

「いえいえ、いいんですよ。
彼が戦争を起こさない…戦争を止められる国連事務総長になってくれたら
その歯形付きの百年杉を500万円でオークションに出すからさぁ(笑顔)。」

大人はみんなで大笑いしてたけど
彼だけがかじりながら、大泣きしていました(笑顔)。
不思議な情景でした。

なんでそういう不思議なことが起きたのかを考えてみた。

彼は生まれてこの方、触れるモノはママとパパの肌以外は
「気持ちの悪い感触」の素材ばかりだったのではないか。

「気持ちの良い素材」とは吸湿性がある素材になるから
人肌、土、木、紙、布という
千年~数百万年間触れ続けてきた5種の素材だけである。

しかし、遊具も自宅の床もテーブルもイスも…触れ続けるそれらのすべては
心地よい香りも感触も無いプラスチックorビニルばかりだったのではないか。

そんな時に前回
気持ちの良い感触の「百年杉のジャングルジム」との出会いがあった。

けれどもその際は…
彼はようやく会えた
心地よい香りと気持ちの良い感触の百年杉に
じっくりと触れ続けることができなかった。

だから今回は鼻をすりつけ…
だったのではないか。

彼の周辺に溢れかえっている
プラスチックorビニルでは
そういうことをやりたくなる気持ちはおこらない。

彼の家だけではない。
この国の赤ちゃんや幼児のほとんどが
プラスチックorビニルに埋もれて生活している。
そんな環境下で「子育て」を頑張ってる。偉いわ。

新生児期において
触覚刺激は視聴覚刺激の数倍もの
広域な脳への刺激到達領域があることは各種の研究結果によって
報告されています。

赤ちゃんは「触れて~口に入れて~しゃぶって」という
脳に到達した触覚刺激の処理によって
脳は発達していくのである。

彼も同じことを実行したまで…なのではないだろうか。

新生児期~幼児期には
気持ちの良い物質に出会えなかったので
今、実行しただけなのではないだろうか。

子どもは大人の思考や行動ができないから、子どもと言う。

大人は子どもだった時代があるから
子どもの気持ちを理解できる
この地球上唯一の生き物なのであるが
子ども時代の気持ちを忘れてしまった大人も多い。

この「子ども時代の子どもの気持ちを忘れてしまった大人」というのは
実に始末が悪い生き物である(この子のママはそういう方では無い)。

子どもは大人の気持ちを理解できない場合も多いのだろうからね。
大人が子どもの気持ちを理解できなければ、寸断されてしまうのである。
それでは子どもは
もって生まれた素質を開花できずに苦しむことになる。

まさに子どもの未来は大人次第なのですが…
「始末の悪い生き物」は、子どもに大人としての言動のみを求め続ける。

「早くしなさい!(早くできないから子どもなのである)」
「何よそ見してるの!(よそ見するから子どもなのである)」
「静かにしなさい!(できないから子どもなのである)」

子どもはなかなか自制できないし
もっと本能的に欲するモノやコトを探し続けているから
子どもと言う。

子どもにそういう行動をとりたいと思わせる長い道のりが
子育てではなかろうか。

子どもを健やかに育てたいのであれば
子どもが日常で触れるモノの心地よさは
とても重要であると、わたしは考えている。

しかしこの手の「長期の習慣によって身につくありがたさ」の立証に対し
科学はほぼ無力である。

しかし、どれだけ科学にいじめられても
子どもには杉が必要なのである。
ひろと君がおじさんになってからじゃ遅いのではないだろうか。
ひろと君が素敵なおじさまになるためにも必要ってこと。

子どもの行動の理由を
考え続ける大人であり続けたいものだ。

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