『百年杉』の専門会社 加藤木材

『百年杉 13年間の探求』
(7)気持ちいいモノこそ、人を幸せにする

皮膚も「幸せホルモン」を分泌する!

オキシトシンというホルモンがあります。

傳田光洋博士が『サバイバルする皮膚』(河出新書)でこのように語っています。

「オキシトシンは古くから知られているホルモンで、赤ちゃんがお母さんの乳首に吸い付くと、お母さんの脳から放出され、母乳を作れと指令する。あるいは、分娩のとき、それを促す陣痛促進剤として投与されるのもオキシトシンだ。ところがこのオキシトシン、人が人を信頼する意識の働きにも関わっていることがわかった。マッサージされるとオキシトシン血中濃度は上がる。オキシトシンを静脈注射すると不安症を軽快させる。マッサージすると、その刺激が脳に伝わり、脳でオキシトシンが合成、放出されると考えられてきたが、ぼくたちは表皮にもオキシトシンを合成し、刺激と共にそれが放出することを証明した。」

そうなると、マッサージされてリラックスしたのは、脳から出たオキシトシンの効果か、表皮から出たオキシトシンの効果なのか、わからなくなります。

傳田光洋博士は同書に、こんなことも書いています。

「人間の皮膚は、人間が持つ感覚のすべて、眼や耳や鼻や舌で感じるもの、それ以上を感知する能力がある。そして、そこで得られた情報を処理して脳に送っている可能性がある。一方でその情報を基に、脳が全身に命令するのと同じホルモンなどで、脳とは別に全身に皮膚が指令を送っている可能性もある。さらには、表皮の指令が脳にも届いていることもありそうだ。」

私、加藤政実は、これを読んで、百年杉の床に足裏が触れたときの「気持ち良さ」によってオキシトシンが作られているのでは?と妄想するようになりました。
もしそうであれば、すごいことです。百年杉に触れてオキシトシンが作られないのであれば、この地球上のどんな樹種に触れてもオキシトシンは生成されないでしょう。それくらい他樹種との比較においてもダントツの気持ち良さなのです。
科学のチャレンジに期待したいところです。

オキシトシンは、多幸性や協調性をもたらす「幸せホルモン」であることが知られています。気持ち良さが源となり、身体が開かれ、幸せになる。実に奥が深いと思います。

「気持ち良さ」と言ってしまうと、安易に響くかもしれません。ですが、その先にしかない幸せの領域があることを、オキシトシンが教えてくれている気がするのです。

マッサージの効果

傳田光洋博士は、『皮膚感覚と人間のこころ』(新潮新書)でこうも語っています。

「皮膚への刺激による医療、例えば東洋医学における鍼灸もそうですが、マッサージの医学的効果についても、実験科学的方法で研究が進んでいます。特にマッサージの施術は、現代医療では難治とされている疾患にも応用されています。例えばエイズ、これはHIVと呼ばれるウイルスが免疫系を破壊し、生体の防御機能を低下させる病気ですが、HIV感染者にマッサージの施術を行った結果、免疫細胞の一つであるナチュラル・キラー細胞の数が増えた、という報告があります。」

子どもの自閉症や多動性障害に対しても、思春期の攻撃的行動にも、うつ病にも、マッサージの施術が症状を軽減させたという報告があるそうです。アルツハイマー病に対しては、行動面での改善が報告されているとのこと。

傳田光洋博士は研究者なので、その「理由」を探求するのでしょうが、理由がわからずとも「利」あることがわかればしめたものです。

フグの肝臓に含まれるテトロドキシンという猛毒が死をもたらすことを知らなくても、「フグの内臓は食うな!」だけで、わたしたちの命は守られるのですからね。

百年杉には、マッサージのような効果がある?

狙いを持って肌に触れる行為であるマッサージを受けると、オキシトシンが合成・放出され、さまざまな「効果」につながる。

それでは、百年杉に触れつづけると、なんらかの「効果」はあるでしょうか。

「マッサージまではいかなくても、それに準ずる日常の効果」があると、私、加藤政実は考えます。強引な言い分に聞こえるかもしれませんが気持ちいい床、テーブル、デスク、イス……など触れるものを「気持ちいいモノ」にすることによって、マッサージにも似た心地よさを持続できると思うのです。

百年杉は傷つきやすい。だから、気持ちいい。
傷つきづらいとか、メンテナンス不要とかの利点はあっても、触れて気持ち悪いものを選ぶことは、賢明なことでしょうか?

触れて気持ちのいいモノ。
日常的に触れるモノの選択の指標をそこに据えれば、幸せの到達点が上がっていく。
オキシトシンの仕組みが、そう教えてくれていると思いませんか。

 

《参考文献》

傳田光洋博士著
『皮膚は考える』岩波書店
『驚きの皮膚』講談社
『皮膚感覚と人間のこころ』新潮新書
『第三の脳』 朝日出版社
『サバイバルする皮膚』河出新書
『賢い皮膚』 ちくま新書
『皮膚はすごい』岩波新書

『すべての不調は呼吸が原因』 本間生夫著 幻冬舎新書
『こうすれば病気は治る』 安保徹著 新潮文庫
『歩けるからだになるために』 石田ミユキ著 BABジャパン
『子どもの成長は足で決まる』 柴田英俊著 運動と科学出版社
『足のはたらきと子どもの成長』近藤四郎著 築地書館
『足の裏は語る』平沢弥一郎著 ちくま文庫
『脳はバカ、腸はかしこい』 藤田紘一郎著 三五館
『三つの脳の進化』ポール・D・マクリーン著 工作舎
『内臓とこころ』三木成夫著 河出文庫
『胎児の世界』三木成夫著 中公新書
『失われてゆく、我々の内なる細菌」マーティン・J・ブレイザー著 みすず書房

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