『百年杉』の専門会社 加藤木材

「グリーン成長戦略」切り札は杉!

少しお堅い資料になるのですが
実に重要な部分なので、原文のまま掲載していきます。
しばらく堅い話にお付き合いくださいませ。

2021年(令和3年)6月18日の菅内閣時に閣議決定された
2050年までにカーボンニュートラルを達成するための
「グリーン成長戦略」という行動計画があります。

その概要はこちら

この戦略は単なるCO2削減の達成にとどまらずに
「国民生活のメリット」も実現する…というのが特徴です。
ですからその行動過程においての
新たな「成長」がタイトルについているわけです。

それらの「CO2削減×国民生活のメリット」の達成のための項目は
14項目ありまして
そのうちの9番目の項目が「食料・農林水産業」になって。
上記リンク先の経済産業省のPDF資料の14ページ
(資料にアンダーラインを入れて掲載)がその分野になります。

この分野での木材に関します「主な今後の取り組み」としましては…

【人工林の「伐って、使って、植える」循環利用を確立し、エリートツリー等を活用した再造林や、木材利用の拡大と促進。】(原文まま・赤アンダーライン部)となっていまして

それによる「国民生活のメリット」としましては
以下のように記されています。

【木材を暮らしに取り入れることによる睡眠効率向上などの生活の快適性や、日本食の消費拡大による健康寿命延伸に貢献する。】(原文まま・赤アンダーライン部)

ご注意くださいませ。
上記の文章は【百年杉】の加藤木材のHP内文章ではございません。
経済産業省の資料内の言葉です。

そう、経済産業省が
「日本の木の使用による国民生活の睡眠効率向上」を達成すると
約束して宣言しているのです。

さらに「日本の木で睡眠効率向上」の具体的な記述としては

【内装を木質化することにより、睡眠効率の向上をはじめ、癒し・リラックス効果など、木材による心身への好影響の実現に貢献。】(原文まま・赤アンダーライン)

と記載されています。

経済産業省がいきなり「日本の木で眠れるようになる!」と言い出したのを読んで
驚きの方々も多いと思いますので
どういう経緯でこのような目標設定になったのかを
もう少し掘り下げてみましょう。

経済産業省のグリーン成長戦略に関する資料は
省内HPのここに詳しい資料のリンク先があります。

このページの中段に「関係資料」として
「2050年カーボンニュートラル達成に伴うグリーン成長戦略(本文)」がありまして
その全文はこちら

その全文の表紙がこちらになります。

この表紙を見ておわかりのように
経済産業省が事務局機能を持つのでしょうが
内閣官房と内閣府と8省庁横断にて
策定されたアクションプログラムであることがわかります。

何しろ2050年までにカーボンニュートラルの達成ですからね。
壮大な目標設定です。
全省庁ワンチームでなければ達成できませんからね。

その全文資料の中の
「大項目4」の「重要分野における実行計画」の中の
「中項目9」の「食料・農林水産業」の中の
「小項目3」の「温室効果ガス排出削減」の中の「現状と課題」の記述が
PDF資料ナンバリング93ページになりまして

そのページの木材利用に関します記載に
赤アンダーラインを入れた資料がこちらになります。

【木材利用については、炭素貯蔵やCO2排出削減のみならず、心身への好影響※71等といった木材利用の効果のエビデンスの検証・発信や「木育」等の普及活動、設計・建築事業者や企業(施主)とのネットワーク化等を通じて、ESG投資にもつながる消費者等の理解の熟成を図りつつ、建築資材の木造化や暮らしの木質化を図る】(原文まま・赤アンダーライン部)

ようは「日本の木で心身の好影響」という研究結果は出ているのですから
林材業界や建築業界だけでなく、不動産業界(施主)まで巻き込んで
エンドユーザーへの啓発を進め続けて達成しましょうよ。…という内容になっています。

具体的な話としての「日本の木で睡眠効率向上!」に関する話は概要欄に記述がございます。
「心身への好影響※71」という「概要欄71」がこちら。

【例えば、居住空間の内装木質化率の向上は、睡眠効果を高めるといった研究結果もある。(参考)(独)日本学術振興会・科学研究費助成事業「住環境が脳・循環器・呼吸器・運動器に及ぼす影響実測と疾病・介護予防便益評価」2017-2021年度】(原文まま・赤アンダーライン部)

ようやく出てきました。
「日本の木が睡眠効率を高める!」についての裏付け資料ですね。

そしてその科学研究費助成事業がこちら

慶應大学の伊香賀俊治博士のグループが
5年間で2億円使って科学研究費助成事業として研究されています。
なるほど、これでようやく全体像が見えてきました。

じゃぁ
「人工林の日本の木を伐って、使って、植えて、暮らしに取り入れて睡眠効率向上!」
の日本の木って何の木??の答えは、間違いなく「杉」でしょうね。

日本の人工林の半分近くに及ぶ44%は杉ですからね。
杉が無いのは沖縄県。極めて少ないのは長野県。
この二県以外に杉は豊富な林産資源として存在しています。

たくさん数が無ければ
「カーボンニュートラルと国民の睡眠効率向上」の両立はできませんからね。

ちなみにその次に多い樹種が桧で25%。
3番目は長野県が拡大造林政策時に選択したカラ松で10%。
この3樹種で全体の8割近いのです。(数字は2017年度の林野庁発表)

また「木の香の比較」として
「鎮静効果の杉と覚醒効果の桧」は木材業界では広く知られている話ですし
森林総研での研究結果もあります。

カラ松10%、トドマツ8%、他のマツ類合計8%では
圧倒的に数が足らない。

けれどもそこをあえて「杉で睡眠!」にせずに
「日本の木で睡眠!」という表記にした方が
行動計画の達成や林産地の経済性も含めて
良いと判断したのでしょうね。おそらく…。
ここはわたしたちにも理解できます。

さて、長々とお堅い資料にお付き合いいただきましたが

【杉を伐って使って、カーボンニュートラルの実現だけでなく
国民の睡眠効率向上と心身の好影響実現!!】

とは百年杉の加藤木材のみが言っているわけではなく
経済産業省を中心とした内閣官房と内閣府と8省庁が掲げている
2050年までの重要なアクションプランなのです。

「CO2削減と国民の睡眠の両立には杉!」というのは
国が期待をかけている最後の切り札なのです。

さすが!一属一種のわが国の固有種。
多湿な森の恵みである
学名:「クリプトメリア・ジャポニカ」
その語意は「隠された日本の財産」である杉です。
いよいよ隠された財産の本領発揮のフェーズのようです。

杉から考える

前項のように
CO2削減という目標の達成のために
国民の利益を明示しながら進んでいくことを目指して
思考を積み上げていけば
「杉=日本の人工林の木」とは実に有効かつ期待の素材になってきます。
切り札と言ってもいい。

しかし杉が一般的に使われているフィールドは建築であり
家具・建具も建築に入れてしまえば
杉が使われているほとんどの領域は建築業界ということになります。

百年杉のリフォーム

建築とはやること考えることも多い大変なお仕事です。
考える時間軸も長く
ざっと20年先くらいは見据えて考えて実行していきますし
部品点数も自動車を超えるくらい多種多様です。

ですから「木」と多めにカテゴライズしても
おそらく建築の中では10%にも満たないでしょう。
ましてや杉となると1%にも満たないはず。
0.1も無いでしょうね。0.01くらいかな。
モノの見方と考え方でこんなにも違う。

「100%⇔0.01%」

「カーボンニュートラル×国民の睡眠」から考えれば
杉しか無い(=100%)のにね。

しかし杉のほとんどが使用されている建築業界から見れば
杉という存在は「建築全体の考えること×実行すること」の0.01%程度に過ぎない。

ここに大きな問題点は無いのでしょうか。

「カーボンニュートラル×国民の睡眠(健康)」の達成とは
地球規模の危機回避と国民全員の幸せの両立を狙った行動計画であり
そのための切り札は杉!

「建築全体の考えること×実行すること」の達成とは
一企業や一担当者の幸せとトラブルを回避して施主の了承を得て満足していただく事。

「実はわたし、睡眠に難がありまして
新しい住まいで睡眠効率改善の方法は無いのでしょうか?」

「調子が悪いのなら
病院に行ってもらわないと…
わたしは建築人であって、お医者さんじゃありませんしね。」

建築から見ると「寝室」は
6~7部屋のうちの一つという「1/7のお部屋」のひとつに過ぎないのですが

「身体のいとなみ」から考えると
心身だけでなく脳の唯一のリセット&チャージという
脳の成長と維持には最重要な行為を
人生の1/3もの時間をかけて
実行する「最重要なお部屋」なのである。
(「京都大学 レム睡眠」で検索すると、林悠教授の睡眠時の中途覚醒によってレム睡眠の消失によるアルツハイマー病などのリスクが研究結果として発表されています この研究に関する資料はこちら 

あともう1点面白い事実があります。

わたしたちが知る限り
森林総研の研究も含めて
多数の大学で「杉で眠れるようになるよね」のような
方向性の実験結果はでています。
これは古い研究も含めれば、実は結構な数になります。

しかし「なぜ杉で眠れるようになるのか?」は
いつまでたってもわからないのです。

ですから正確に言えば…
「杉が身近にあって睡眠効率向上や心身への好影響はおそらく事実なのですが
なぜ?そうなるのかの科学的立証は未だ無い。」のです。

これが「杉と科学」の「睡眠」における現在位置ということになります。

「杉で眠れるのはおそらく事実だが、なぜか?は不明。」

もちろんなぜ?の立証も
ついてくるに越したことは無いのですが
(いかにも副作用もなさそうだし…)理由はどうでもいいから
眠れるのなら使いたいというのが
ユーザー心理だと思うのですが

0.01%の視界からは
そういう知見がなかなか出てこないというのが現状ではないでしょうか。

これはミスマッチではない。
しかし建築人の叡智のみで「住まい」を考えてしまうと
「100%⇔0.01%」の論理から
「眠れるご自宅」の達成は
よほどの強運でもない限り実に困難。

建築人の方々はもちろん建築時には必要な
実に頼りになる方々です。

しかし
「なぜか?は不明も…
ホモサピエンスという生き物が
睡眠時に適した心身の鎮静状態になるには杉が必要なのは事実。」
という情報は

赤ちゃん(3歳以下)の1日の総睡眠時間の国際比較

3歳までの睡眠で生涯の脳のフォーマット形成の約8割が決定されるという
ホモサピエンスという生き物にとっては
実に重要な情報なはずなのですが
(しかもこの国の3歳までの子どもたちは世界一眠れていない)

いつまでたってもホモサピエンスには届かないのです。

建築人のせいにしない

「早くて安けりゃイイよ」というユーザーと
「数十年食べ続けても安全と思われる料理」を求めるお客さまでは
料理人の対応も料理の質も違ってくるのは、ある意味当然ですよね。

どうしても建築は学問ですので
屋内の「温度・湿度」や
その達成のための数値的な断熱論や
ラクチン~メンドクサイというメンテナンス論になりがち。

学問ですから数値化が重要だし
「ラクor不便」というのも主観的な事実ですからね。
「数字と事実」で積み上げていく。

「杉の香」を含む空気の心地よさの
温度的には暑いはずなのにあれ?大丈夫どころか…のような
数値化不可能な「五感+α」の領域にまではなかなか入っていけない。
これはある意味もどの意味でもしょうがないことです。

ですから建築人のせいにせずに
ホモサピエンスという生き物が
持って生まれた素質をいかんなく発揮して成長し
その成長をできるだけ維持しながら
腐食ではなく、熟成~枯れるようにお星さまになるような「住まい」とは…
の思考を諦めずに継続していきませんか。

「依存~思考停止~選択無き家畜のような人生」ではなく
「自立~思考継続~選択し続ける知能を有する人類が歩む人生」ということです。

サラブレッドは大きいけれど
実に繊細な動物で
寿命も30年も生きれば、かなりの長寿と言われます。

世界中でサラブレッドはまず間違いなく
「木の家」に住んでいますが
あれがもし、プラスチック&ビニルハウスに住んでいたら…
あの環境に関する繊細さですからね。
お馬さんの生涯は、いったいどうなることやら。

わが国は、建築という学問からの
様々なありがたい助言は得られる環境にあるのですから
あとは自らが生き物として求める環境って何だろう?…
を自ら考え続けるしか方法は無いように思うものです。

だって「ホモサピエンスという生き物にとって適した住まい屋」という
職業は無いのですから…。

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