表題の記事は2018年5月2日の毎日新聞です。
弊社HPに来られる方は
フツーにご存じの方ばかりと思えるお話なのですが
最近は若い方の来訪が増えているのでは?…
とも思えるアナリティクスな数字もでていますので
今日は「若い方」向けを意識して記しますね。
イメージとしては高校生くらいに向けたお話かな。
まず記事を読む前の共有事項としては
●まず菌とウイルスの大きさの違い。
菌は植物のような生き物だけど、ウイルスはもっと小さくて、生き物ですらない存在。
●あとよく聞く薬である「抗生物質」これはペニシリンが初でして…アオカビという自然界から見つけたモノだから「抗生物質」と呼んで、それ以降同じ目的で、作られた菌をやっつける目的の人造物のお薬は「抗菌剤・抗菌薬」。まぁ同じような目的のお薬です。
●そんな「抗菌剤・抗菌薬」ですが、菌をやっつけるのには効いても、ウイルス相手にはまったく効かないということ。ここはちょっと重要かな。
その3つを踏まえてこの記事の本題を読んでいきます。
①人間に悪さを働くことのある菌をやっつける「抗菌剤・抗菌薬」をたくさん服用していると、駆除したくない菌(=生きていて欲しい菌=やっかいな侵入してきた菌やウイルスをやっつけてくれる場合もある菌)にまで効いてしまって殺してしまうというデメリットが大きく原則使ってはならない。」(奈良県の医師の談話)
②「抗菌剤・抗菌薬」を乱発していると、「抗菌剤・抗菌薬」が効かないスーパーな耐性菌の出現を招くため専門家は使用を控えるように訴えている。
③「抗菌剤・抗菌薬」は菌には効いても、ウイルスにはまったく効かないのに、風邪(=原因は旧型コロナウイルスですね)薬での使い方の乱用は異常だ。(都立医療センター感染症科の先生)
ようは風邪などのウイルス感染時にウイルスには効き目がない「抗菌剤・抗菌薬」をこの国ではたくさん使用しちゃってるから、ウイルス侵入時に戦ってくれることもある体内の菌が死んだり、数が少なくなって…肝心な新たなウイルスなどが侵入してきたときに…
ということが読み取れるわけです。
③に関しての事実がなぜ起こった…起こっているのかを
専門家はこうやって指摘しています。
●「“風邪には抗菌薬”という教えを受けた医師は多く、“抗菌剤・抗菌薬”の使い方は異常だ。患者が治ったという誤った成功体験が積み重なり、疑問を持たなくなったのではないか。」(前出の感染症科の先生)
いったい誰が「風邪(ウイルス感染)には抗菌薬」と教えてきたのでしょうか?…についての記述はありませんでしたが、むかしむかしの医学書でしょうかね。たしかに右下のグラフを見ても我が国の「抗菌剤・抗菌薬」の使用割合は突出していますね。
●「日本は感染症教育の歴史もまだ浅い。感染症の専門医少ないことも一因かもしれない。」(国立治療研究センター感染症科の先生)
ここで書かれている専門家は感染症の専門医さんであって
開業医のお医者さんではありません。
まぁ、ウイルスに効果のない「抗菌剤・抗菌薬」を
ウイルス感染時に処方しているお医者さんを批判するのは簡単であり当然のことですが
ここは違った見方で考えてみましょう。
医学もそうですが、医学に限らず、学問とは新たな発見や知見が見つかっても
それが広がるまでとても時間がかかります。
引っ込みがつかないというか…。
わたしが幼少の頃はスリ傷なんかにはすぐに
「赤チン」と呼ばれる塗り薬を塗っていたものです。
一家にひとつはあるようなメジャーなお薬でした。
けれどもその有害リスクが言われるようになって、たしか今年で完全に製造中止になるのですが
それまで一家に一個だったものがいきなりまったく売れなくなると大変でしょ。
だから国内原料の生産中止から30年近くなっての今年の完全な製造の中止。
医療なんかは特に薬の認可にも時間がかかりますしね。
いったん治療法のフォーマットができたら
それに関するピラミッドが構成されて…。
特に医療・医学という分野は
それを覆すのには物凄く時間がかかると認識すべきではないでしょうか。
わたしたち側がそれを認識しないとね。
下手したら50年とかかかる学問なのでは…とね。
(「抗菌剤・抗菌薬」なんてまさにそういうスケジュールでしょ)
そうでもなければ、毎月のように医学書を書き換えなきゃなりませんよ。きっと。
そういう医療も受診者としては、なかなか困ったもんでしょ。
だから「今の学問」とは常に古いものなのだ。…という認識を持てばいい。
現在進行形の話だと胃のピロリ菌の駆逐除去しちゃうと
逆流性食道炎や食道ガンなどにつながりやすい弊害なんかを指摘する先生もいるけど
胃ガンにならないための駆除を実施する先生もいます。
昔は盲腸を切ったけど今は切らないでしょ…。
なくなっていいものは、最初からすでに無いはずだから
存在するモノには存在意義はあるという考え方。
学問はもちろん重要なのですが
細分化されているでしょ。どれもこれも。
だから学者さんも専門性の領域では「詳しく」ても
他の学問の中では「そうでもない」に近い…みたいなことはありそうですよね。
この記事のとおり、内科医のお医者さんでも
感染症には詳しくない先生は結構いらっしゃるみたいだね…という数字が出ています。
最近だと深海の海底からさらに地中深い岩石に微生物細胞が発見!…の報が東大でありましたが、外国の著者の細菌に関する本で栄養分無き地中深きエリアや放射性廃棄物に専門的に住む細菌類がすでに存在するような記述を読んだことがありますので(記憶で書いています)、菌を専門とする学問の先生はそんなに驚かなくても、地球誕生とか…そっちの学問としては大発見なわけです。
人類は知性を有しますが、とりわけ「身体の不思議」に関しては、完全に理解できているヒトなんていません。内科…外科…歯科…細分化されていますから、あなたの身体を最も知っているのは貴方であるはずです。
ですから、やはり様々な学問を「知って」探求し続けて
それらを総合的に判断して
「買う~買わない」「食べる~食べない」「住む~住まない」「行く~行かない」
という行動をとれるのは、自分しかないのです。
「何が正しいのか教えて?」では
悪意を持ったビジネスにひっかかってしまうこともあるでしょう。
とにかく思考し続けることです。死ぬまでね。
わたしは安易に飛びつかないように心がけています。
「新しいモノ好き」はあんまりお勧めしません。
たとえば…「1日何キロの野菜を人間は摂取しなければなりませんが…」の広告があったとすると…「そのお野菜は農薬使用の野菜を言ってるの?品種は?エフワン種なの?栄養価の高いと言われる以前の固定種野菜なの?お野菜の質に留意した数字を言ってるの?」とか…「善玉菌と悪玉菌が…」の文字があったなら、「体内の菌とわたしたちにおいては雇用関係や血縁関係もないはず。そんなモラルや愛もない関係なのに善悪ってどういう考え方?長い期間を経て共進化をしてきた関係ということは、わたしたちにとってまったくの無駄である悪玉なんて菌は無いはずだし、逆にまったくの善玉の存在も無いはずでは?」…とかね。
疑ってかかる…ととらえるとネガティブに聞こえますが
そうじゃなくて「あきらめずに思考の連続」というこれが習慣になれば…
いつも一緒にいたいヒトや
あんまり一緒にいたくないけど、時々一緒に居ざるを得ないヒトや
できれば一緒に居ないほうがいいヒト…
とかが見えてきて…わかってきてイイよ。結構。
がんばれ!高校生!!