『百年杉』の専門会社 加藤木材

さて3つめの「木の気持ち」である。
本シリーズ最終章である。

●他の生き物の気持ちが入っている木に留意すること。

これは書籍「植物は気づいている」を読んでの影響なのですが
インドアグリーンの木が、お湯を沸かした際に水の中の微生物の死に反応して
ウソ発見器が大きく反応したとの記述があったので
以降用心してちゃんと木にお願いするようにしています。

具体的には
リフォーム工事において…
樹種はまさに適材適所ですので
わたしが愛する杉では、不向きな場所での使用の木の場合もございます。
さらにはお客さまからの施工実施時期の要望に沿うために
いたしかたなく…外国の木を使わざるを得ない場合もございます。

そういうケースはめったにないのですが
たった1束のロシアからの輸入材を木材市場から買ってきたあと
ぼくはそれを工場に入れて立てかけてから
両手をあわせてお願いをします。

「ロシアの赤松さん、遠くロシアで伐られてここに来るまでの間に
わたしと同じ人間があなたに酷いことをしたのかもしれません、
またあなたが伐られることによって、困ったことになった生き物の気持ちがあなたにはあるかもしれません。そうであったとしたら、どうかお許しください。

あなたは【百年杉】の裏側にはいって見えなくなるのですが
お客さんは【百年杉】を愛してくださりますし
【百年杉】を支えるあなたも大切に思ってくれるはずです。

どうか、かわいがってもらってください。
よろしくお願いいたします。」

まぁこれくらいの「念」だから20秒くらいになるでしょうかね。
このシリーズの話の冒頭に記した

「よくホームセンターで木なんか買えるなぁ。」

という気持ちはこのへんの気持ちからです。

工務店もリフォーム会社も平気でホームセンターで「木」を買うからね。
中国の柳杉という日本の杉によく似た木のスノコ板が
ホームセンターで「樹種・杉。原産国:日本」として
上場企業の販売会社名で売られていたのを見たことがあります。あぁ怖い。

ホームセンターが悪いのではなく
ホームセンターの方々は木に対して愛は無いでしょ。
愛の無いところから木を買うなんてわたしには怖くてできないということです。

ちなみに今や絵馬さえも
ほとんどが北米からの輸入材です。
北米は環境NGOが目を光らせているだろうから
他の生き物の悲しみは無いだろうけどね。
これが途上国からとなると、いったいどうなっちゃうのでしょうね。

木がヒトの蛮行に怒っている場合や
他の生き物の悲しみが乗り移っていた場合
「ちゃんと手を合わせて謝ってお願いすれば大丈夫」だと、ぼくは考えています。

だって木だもん。
悪いヒトはいても悪い木はいないもん。

ただしそんな20秒くらいのことも
木を素材の一つとしてしかみない現代の建築業界人には
思いもつかない行為なのかもしれません。

最近だと内部が空洞で危険ですから
ソメイヨシノの街路樹や公園での伐採が盛んだけど
あれも伐られ方が悪い場合は危険であろう。

ちゃんと木にアナウンスしてお願いしていない場合は
ソメイヨシノは「殺された」と思っちゃうから、人間に悪さをはたらく。

そういう木を材として使うと不幸が広がっていく。
ソメイヨシノの材としての有効利用は優しい気持ちであり、とても良いことなのだが
木を素材としてのみ見ていると「怒った桜の気持ち」に気づかない。
はっきり言ってしまえば、五感が鈍いから気づかないのである。

もし「お願いと告知」もせずに伐ってしまったのであれば
「成長を前提とした“いのち”をいただく際に
何も言わずに伐ってしまい、大変失礼しました。お許しください。
大切に使いますので、許してください。」

の言葉をイベント化して桜に伝えなきゃね。
伐り方が悪くて「怒っている桜」に許してもらう作業のイベント化ですね。
本来であれば、そうではなくちゃんと木にアナウンスするイベントの徹底ということになるのですけどね。「やってしまった」のであれば謝罪とお願いしかあるまい。

ちなみになぜ神事と木の伐採時に日本酒が必須なのかを
わたしなりに推察すれば…

それは、ほぼこの世のすべてが無ければできない日本酒を捧げることによって
最大級の敬意を表しているのではないだろうか。

イチゴを作ろうと思えば
石油で製造したビニルハウスと重油を月に30万円も燃やせば
工業のように生産可能であろう。
(イチゴ農家さん乱暴な言い方でごめんなさいね。お許しください。たとえ話です)

コメの収穫には豊かな遠くの山々の木々…森…。
そして河川が必要であり、トンボもミミズもおよそ見えない範囲もふくめた
すべてのこの大地~空~土壌~わが国すべてのモノが必要なのである。
さらにその米をこの国の固有種であり特別な木である
樹齢100年~150年の杉を使った樽で発酵熟成させたモノが日本酒です。
50歳くらいの若い杉では日本酒もできまい。

だから見えるところも見えないところも含めて
この日本中の“すべて”が必要であり…
かつ…百年さかのぼった時間軸も発酵のための杉パワーには必要。

まさに神への謝意もお願いごとも
日本酒が無ければできなかったのは
そういうことではないでしょうか。

「大切に使いますので、伐らせてください。
成長を前提とした“いのち”はいただきます。
しかし、木材となっても、あなたの“いのち”を大切に使わせていただきます。
伐らせていただくお願いをきいてください。」

そして、この日本のすべてと100年さかのぼった時間軸が無ければ、製造不可能な日本酒を“お願い”の真剣さの表れとしてそえたのではないだろうか。

それらもせずに
安けりゃ結構な…入札によって伐採を請け負った作業員が
いきなりチェーンソーでズタズタでは…
ソメイヨシノさんは殺されたと思うだろうから
ヒトに対しての「怒り」があっても何ら不思議ではない。

しかもソメイヨシノは開花の時期に
多くの人々からの「愛されオーラ」を得ていただろうからね。
「なぜあれだけ愛されていたのに…その同じ人間からいきなり殺されたのだ。」
となって、かなりの「怒り」があるかもね。
それでなくても、里の木はヒトの気持ちが入りやすいから用心しなきゃならないのにね…。

神頼みや寺社詣に墓参り…しかも縁起も担ぐのに…
それらの手をあわせる真剣な崇高な気持ちを
なぜ?一般的な日常にとりいれられないのでしょうね。
御朱印収集が本質になっているようでは、気づけまい。

木を素材のひとつではなく
“いのち”としてとらえることができれば
それまで見えなかったことも見えてくるはずなので
あえて記した次第。

【百年杉】のお客様よりのお手紙にて
「運気が向上してきた感さえあります。」とか
「念願の赤ちゃんを授かりました。」などの幸せな便りを時々いただくのですが
「山の畑」として育まれてくる過程において
「100年後には立派な材になって、かわいがってもらえよ!」
の気持ちを得ていた…指折り数えて伐られる日を待っていた【百年杉】ならば
お客様の開運にさえも一所懸命に貢献しているのかもなぁ…
とは年に何度か思うわたしの気持ちです。

この項の冒頭である「その①」にも記したが
心と身体だけでなく「霊的にも」グッドコンディションでなければ
人類は「健康」になれないことは、WHOが「健康」の定義として明確に示しています。

(この項 おわり)

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