『百年杉』の専門会社 加藤木材

モノを作っていて良いと思うのは
自分の衰えを自覚できることである。

ぼくは52歳を境に、睡眠が変わり…
メモをせずとも覚えていたことを失念したりと…
自分の脳が日進月歩の勢いで衰えていくことを自覚している。

脳の劣化が始まったころは
自分の脳が先月より劣化していることを認めるのがとても嫌だったのだが…
いまは、「衰えを自覚できなければ気づけない領域」があることに気づき
「老いと脳の劣化」についての折り合いはついている。
つくづくヒトの心身は…気づき方はうまくできているものだ。

料理をするヒトも同じような感覚は無いだろうか。
かつては冷蔵庫の中も…食材の量と鮮度をすべて把握していたのに…
あらまぁ?!やっちゃった~!…なんてことはないだろうか。

だからモノを創ることなく老いていくヒトは
自己の「脳の老化」を感じづらいので、ちょっとやっかいかもしれない。
「老害」ってそういうことかもしれません。

そして52歳くらいまでに
あなたの専門性を有する領域において
せめて5合目くらいまでは到達していなければ
あなたのライフワークにおける真理への到達はきびしいものになるかもしれない。
52歳から、ぼくが【百年杉】をはじめたのでは
無理とは言いたくはないのですが、相当にキビシイであろう。

30歳代では「楽」ばかり考えているから気づかない…
やはり黄金の40歳代であろう。
そこで「経験」をためながら生かし
「実践」を経た、「自分の経験」としてストックしていく。
40歳代って、とても重要な黄金期だと思います。
もちろんそれらを30歳代からできれば、ものすごいことになるでしょうね。

あと老眼も進めば、なんだか脳の劣化も進むような気がして…
目は大事にしていて…いまだに裸眼で【百年杉】家具を製作しているのだが
夜間はやはり目がつらいので
工場勤務は昼間で、夜間はPCの前という感じが、今のわたしの作業になっています。
さてさて、そんなある日の午後…

工場内で板をめくると、足元にピヨピヨなひな鳥が
まるで厳冬期の八甲田山で耐える陸軍兵のように震えているではないか!(驚)。

「!」
あやうく踏むところだったわい。
急いでた製作だったし…仕事にならんので
スタッフを呼んでピヨピヨを非難させたのだが
なんだかまだ鳴き声がするという。

おおそうか。こちとら機械をまわしてたから、気づかんかったわ。

しばらくしたら
もう一羽のピヨピヨを工場内でスタッフが発見。
そこで木箱に入れてカンナ屑やら新聞紙を入れて
外部の道具箱の上に置いておくと
シジュウカラの親鳥が「虫」をくわえて
ピヨピヨにエサをあげにやってくるという。

おい親鳥。お前何やってんだよ。
子どもから目ぇ離すなよ。あぶなかったじゃんか。

しかし困ったものだ。
そのまま置いておけば、カラスか猫にやられちゃうし
木箱をどっか上の方に置いてもピヨピヨは落っこちちゃいそうだとスタッフが言う。

今はいいのだが
まだ明るいうちに巣箱を作って
親鳥に新たな場所を認識させなければ
明日以降のピヨピヨのエサの確保がキビシイかも…。

マジか?しゃぁない。
お仕事中断して…巣箱づくりだ。しかも急がなきゃ。

そしたら、扉のように取り外し式にしないと
ピヨピヨが死んじゃった際の面倒がみれない…とか
まぁ…正解なのだが…優秀なスタッフさんは
なんともいろいろと正しい(勝手な)要求を五月雨式にぼくに伝えにくるのである。

「間に合えば…ですけど。社長。」

とか言ってね。
しかしそれがサクッと、できちゃうからね。ぼくには…。
材料は売るほどあるし売り物だし…
機械や工具もあるし俺もいる。

まぁそれを知ってて、気を使いながらうまいこと要求されてるのだろうけどね。

そして急きょ、巣箱を完成させて第2工場の壁面にくっつけた。
さてどうなることやら。

おかげで最近は無かった夜間の工場内での製作残業である。夜間残業である。

日曜日を経て、スタッフがのぞいたところ
2羽のピヨピヨはご存命とのこと。

さて鶴は恩返しをしてくれるらしいのだが
ヒヨドリの恩返しはあるのだろうか。

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