じつは、ぼくは相当な覚悟を持って
【世界初の200年杉のお部屋】の岡山に入りました。
【百年杉】と【200年杉】との明確な差異が感じられなかったら…
大げさだけど引退も考えていました。
まぁ大げさだけどね…。
だってぼくの言葉を信じて
高価な【200年杉】を寝室にとりいれてくださったKさんに申し訳がたたない。
【百年杉】と変わらなければ、まるでそれじゃあ、ぼくは詐欺師である。
だから金曜の午後には
隣町の盟友のトコちゃんに会いに行って
「どんぐり」フィールドで入念にアーシングさせてもらって
彼女から相変わらず素晴らしいオーラをいただいて
足裏をより鋭敏にしてから金曜夕刻の新幹線に乗りました。
やるだけのことはやってからいこうと思っていました。
そして翌日の土曜日に
ドキドキしながら
岡山市のKさま邸へ…
1階は 私が愛してやまない【百年杉】の床。
施工された地元の会社の方は私に名刺を差し出して
「凄い!この香り!」と言ってくださるのですが
私にとっては【百年杉】は10年来の友人…親友…パートナー…
「この岡山でも愛されてね。」という感じ。
【200年杉】は2階。
いきたくない感覚と
はやく上がりたい感覚が交差します。
実はKさんが弊社にわざわざ岡山からお越しになったのが昨年の7月頃。
Kさんは7月の梅雨の土砂降りのコンディションの中
弊社2階の【百年杉】ショールームに入られて
外は過酷な湿度温度環境なのに
エアコンもない【百年杉】部屋の好適な空気環境に驚いておられたのですが
それらはある意味、私にとっては、それは当たり前であり日常。当然…。
実はその頃の時期は…
かねてから畦地製材所さんに頼んであった
【百年杉】を超える150年~200年くらいの杉材が
ようやく入荷していじりつづけてたころでもありました。
(価格の問題もあるのでオーダーから入手まで1年半かかりました)
その香りの「品格」の違い…超豊富な精油分による
加工の仕上がりの違い…などを
毎日まいにち考え事をしながら【200年杉】をいじっていた頃なのでした。
「杉は樹齢80年くらいで黒帯になる。
それ以下の樹齢の杉とは明らかに別の木になる。
杉の元服…成人式…である。それ以下の杉はキビシイ言い方になるが
それは害の無い木(杉)であって
アクティブに我々の身体にありがたい作用をしてくださる木力(きぢから)はかなり少ない。
わたしたちの【百年杉】のカテゴライズ内である樹齢120年くらいの杉は
たしかに凄いのだが、黒帯間もない樹齢80年の杉が著しく劣っているとは感じない。
80年の杉でも中には凄い杉がやはりあり…
そういう80年の杉でも
120年の杉とそん色ないモノを【百年杉】として販売させていただいている…」
しかしこの150年…180年…200年という
【百年杉】とは明らかに「品格」の違う…
「黒帯」の遥か上をいく…3ステップ~5ステップも上をいく…
八段…九段…名人…のような
黒帯のはるか上をいく横綱のような「品格」は何なのだろう…
【百年杉】以降の50年で、杉はこんなにも大化けするのであろうか…
江戸時代に生まれた杉はこんなにも違うのか!…
まいにちまいにち
そういう悶々とした問答を
(誰に相談してもわからないから…
普通に【百年杉】のみを毎日いじっていて
さらに200年杉を毎日いじりだした人がいないから…
誰にも本格相談できずに…)
数か月かけて、自らの体内にてやりとりしていたころに…
Kさんはちょうどタイミング良く遠路はるばる岡山よりお越しになって
「じゃぁ、加藤さんがおっしゃる150年~200年杉で寝室だけでも天壁床すべてやりますよ。」
ということのなったのでした。
工務店さんや設計士さんは
木の質の違いによる住む人への心身の「結果」の違いには絶対に言及しない。
それは質の違いへの「目利き」を有していないということもあるでしょう。
(それ以外にもあるけど長くなるからここは割愛しますね)
だから「素晴らしい杉」は使われない。
だから「素晴らしい杉」に誰も気づかない。
クロマグロの大トロが評価されないのだもの
イワシもサバもその評価は上がるまい
その結果、育林への意欲も消失し…森は荒れていく。
だからみんな杉ほど個体差の激しい樹種はないのに
杉はどれも同じようなモンだと考える。
だからぼくの嫌いな言葉である
「杉の有効活用」なる、まるで杉がゴミであるような考えが…
森の恵みが無価値であるかのような言葉が乱立する。
それが嫌で
高品質重視の杉に徹して約10年。
「安いが、たいして恩恵も無いような、青田刈りの杉が欲しけりゃ他をあたってくれ。」
とばかりに、やせ我慢をし続けて約10年。
木(杉)の価値向上…復権のみを目標にしてきて
「埼玉県なのになんで三重県の杉なの?」との言葉にも…
(杉はどこでもいっしょでしょ…の人たちには)まともに返答せずに
歯を食いしばって、やり続けてきたのですが
さすがに今回は私もビビったということでしょうかね。
そう、ぼくはビビって岡山に入って
更になかなか2階に上がれなかったのである。
(つづく)