コロナ禍による、国民への10万円の配布がされますが
弊社OBのお客様が
そのお金で【百年杉】のセルフビルド床材をお買い上げくださって
それを地元のNPO法人に寄付されました。
凄い方がいるもんです。ぶったまげます。
寄贈の日に、わたしも敬意をもってうかがうと
0歳児保育室の床に敷かれていました。
たいへん光栄ですし、たいへんうれしく思いました。
おそらく…わたしたちにとって必要なのは設計でも施工でもなく「土」と「木」です。
お客様はそれがわかってくださった。
木にもいろいろありますが
「学問の祖」たる欧州の香りもほとんどない木は
彼らも口をそろえる通り「害のない素材だから木を使う。」というヤツ。
欧州の設計士は皆そう言うし、彼らは木片を鼻にもっていく習慣さえ有していない。
しかしこの国は適材適所と呼ばれるくらい
パワフルな力を有する木々が多種あってしかも多数ある。木の島である。
そしてご自宅には鎮静効果の杉である。
そして得られる鎮静効果は何からくるの?と問われれば
植物精油であり、香りなのですから
精油保持量は樹齢に比例するから【百年杉】。
【百年杉】が無ければ
こどもは持って生まれた素質を開花できずに苦しむし
わたしたち自身もその能力の開花と維持に苦しむのである。
また欧州発の抽出したアロマオイルでは精油量が大量すぎて
せっかくの鎮静効果の香りなのに…それをヒトは刺激的ととらえてしまう。
「同じ成分でも、大量の植物精油を刺激的ととらえて
少量の植物精油を鎮静的ととらえる。」
そういう人間と植物の関係性におけるリアクションとしての生物活性があるのだ。
やはりアロマオイルの製造は
「薬の製造の発想」なので
緊急的な使用にとどめて…
香る木が身近にあることに勝る使用法は無いのである。
例えるなら
コカの葉を噛むことによる
リラックスや多幸感はまったく害が無いのだが
その成分のみを抽出したコカインが麻薬となって人間の身体を蝕むのである。
人類は知能を有するので、最小の行動で最高の結果を望む生き物である。
「抽出」なる行為はまさしくそれであって
薬、アリマオイル、サプリメント、栄養補助食品…数限りなくあるのだが
やはりそれらは、緊急時利用のためのものであって
邪道とまでは言い過ぎかもしれないが
「側道」程度のものであり、本道や王道にはなり得ないはずである。
このように人間の叡智なんざ小さいものなのである。
香り艶やかな【百年杉】の床に住み
土にちょくちょく触れるライフスタイルが無ければ
ヒトは大成しない生き物なはずである。
わたしたちの「好み」とは関係ないのである。
おそらく、地球上のすべての陸上哺乳類は
海から陸にあがって「土」を握りしめるのを
33億年も待って、ようやく実現した生き物の子孫であり
人類は700万年前までは霊長類として
樹上の生き物だったはずである。
それが証拠にこの国の住まいの床も、ずっと「土」だったものが
約1000年前に木になったのである。
「土と木に触れたい」というのは
各自の「好み」ではなく
脳の奥にプログラミングされている遺伝子レベルでの情報であろう。
そしてそれが得られなければ
本質的な「安らぎ」を感じられないのだろうから
こどもも素質を開花できないし
大人だって、本来可能な「深い睡眠」を得られずに苦しむのであろう。
今回のお客様の行為の基軸として
「加藤木材が凄い。加藤政実が凄い。」のではなく
「【百年杉】が凄い。そして代わりの無いありがたいモノである。
それをもっと知ってほしい。」
というお考えがあるように思う。
まったくその通りであって、深謝申し上げたい。
ヒトなんてどうでもいいのである。
それは結果(売り上げ=お金)だけを求めて
日本中の林材業者がさぼっている重要なアウトプット事項であり
おそらく建築業界には、もはや不可能な考え方である。
設計も施工も…不要とまでは言わないが
杉と土に触れるライフスタイルさえあれば問題解決なのである。
設計無しで施工無しで…
ただ置くだけで、人間ごときの叡智や才能では到底到達できない安らぎの領域に
0歳児をお連れすることができるのである。
木の恩恵を得る方法は建築によってのみ可能ではないし
それどころか、慣行建築業界は「植物の質」に関する心も知見も持たないので
「高価になるが効果も高い価値ある質の高い木」など
真っ先に外す作業が日常の業務である。
「住まい」を建築業界にまかせっきりではこの国も森も滅ぶよ。
建築人は木を素材のひとつとしか見ないが
あの方々が大好きな「人間の叡智」だって
この地球上の素材のひとつに過ぎないはずである。
そんなもの無くたって地球はビンビンだぜ。
ぼくは人間の叡智の話に
まったく興味が無いわけでは無い。
しかし、アイドル商法がわかりやすいのですが…
「ヒトが人気者になる→そこにお金が集まって→商売繁盛」
設計力、デザイン力、企画力、匠の技…
ヒトの叡智の誇示ばかりの慣行建築業界には
木を素材のひとつではなく“いのち”として見ろや!…と言いたい。
ぼくは手柄のすべてを
「木や土」に惜しみなく与え続けるような人間で
あり続けたいと強く思います。励みます。