『百年杉 13年間の探求』
(2)皮膚は、何を感じ取っているのか?
傳田光洋博士の著作が教えてくれること
加藤木材が、百年杉を専門的に扱うようになって13年。
まるでそれと同時進行で、皮膚に関する研究が急速に進んでいるようです。
30年位前までは、皮膚は単なる包装紙のようにしか考えられていませんでした。
でも実は、まるで「頭部感覚器」のような驚くべき能力を有することが、今世紀に入ったあたりから次々と解明されてきているのです。
加藤木材の代表取締役である私、加藤政実は、傳田光洋博士の著書を何冊も読みあさるうちに、ムムムッ?と気づきました。
百年杉を暮らしに取り入れたお客様たちから寄せられる、睡眠や呼吸や腸の動きなどに好影響があったというお声と、皮膚の驚きの能力は関係しているのではないか?と。
例えば、傳田光洋博士は『サバイバルする皮膚』(河出新書)にこんな風に書いています。
「今世紀に入ってから、表皮は様々な世界の出来事、温度、気圧、酸素濃度、電場、磁場、音、色、匂い分子や味分子などを感知することがわかってきた。言い換えれば表皮には、触覚、視覚、聴覚、嗅覚、味覚があるのだ。人間の皮膚は、人間が感知する様々な出来事、そのほとんどを眼や耳、鼻や舌とは別に、感知する機能を持っている。」
つまり、
◆皮膚は感じている
◆皮膚は見えている
◆皮膚は聞こえている
◆皮膚は嗅いでいる
◆皮膚は味がわかる
ということなのです。
さらにはなんと!
表皮ケラチノサイトは空気中の酸素濃度を感知していて、その変化によって赤血球の生産量を調整するシグナルを出す、あるいは地磁気、方位磁石の針を動かすぐらいの弱い磁気にすら表皮ケラチノサイトは応答するという研究もあるというのです。
わたしたちの皮膚の表皮にあるケラチノサイトは、どうやら周辺のさまざまな環境を感知する機能を持っている。
そう、わたしたち全員が所有する皮膚が、です。
みなさんにもぜひ、傳田光洋博士の数々の著作でその驚くべき皮膚の能力について学んでいただきたいと思います。
とりわけ私、加藤政実がムムムッ?と反応したのは、傳田光洋博士が複数の著作で引用されているドイツの研究者の嗅覚に関する研究でした。
「白檀という香木に含まれる香気成分で作動する受容体が表皮ケラチノサイトに存在していて、それを作動させるとなんと傷の治りが早くなるのである。」(『サバイバルする皮膚』より)
これを読むといつも、
「百年杉の香りの吸引によって傷の治りが早くなる」というような実証実験ができないものか?という考えが頭をよぎります。
講演会やワークショップでの「良い香り?嫌な香り?」のアンケートでは、いつも97%の支持率をたたき出す百年杉。可能性はあるのではないでしょうか。
心地良いと感じる香りがもつ香気成分によって皮膚の傷の修復が早くなる。
これはものすごい事実だと感じます。
触れて気持ちのいいもの・悪いもの
皮膚の驚くべき能力を知るにつれて、わたしたちは「触れて気持ちのいいもの・悪いもの」にもっと注意すべきだと考えるようにもなりました。
とりわけ日々触れるものは、長期間継続して触れるわけですから、それによって未来は変わるとも言えるでしょう。
無意識のうちに大量の情報が、皮膚から脳に送られつづけられているのですから。
そして、こんな風にも考えられますよね。
◆触れて気持ちのいいもの=進化の過程で触れ続けてきて安全が確認されている物質
◆触れて気持ちの悪いもの=進化の過程で触れてこなかった安全性未確認の物質
前者に関しては、なんら問題は無いのでしょうが、後者に関しては、どうでしょうか?
進化の過程で安全性未確認の注意報や警報が、皮膚から脳に送られつづけているとしたら、どんな影響があるでしょうか。
そのような物質に日常触れつづけるようになって、まだ40年余り。
皮膚から送られてくるアラーム情報を脳が平然と受け入れられるようには、まだなっていない可能性があるのではないでしょうか。
推論ではありますが、「脳やこころの成長への負の影響があるのではないか」と私、加藤政実は強く危惧するわけです。
1回やそこらではなんともなくても、室内の床・壁・家具・遊具などが後者であれば、注意報のアラームが脳内で鳴りっぱなし状態ということになります。体や心に変調をきたさないほうが不思議ですよね。
とすると、日々過ごす家の環境をいかに整えるかが、いかに重要だということに、あらためて思い至るわけです。
次回もひきつづき、「なぜ?みな百年杉で元気になるのだろう?」を考えていきたいと思います。